Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 循環器
症例報告・心筋症/その他 

(S534)

二度たこつぼ型心筋症を発症し,二度目は一度目と異なる部位に収縮低下を認めた1症例

A case that the Takotsubo cardiomyopathy is recurrent and the ballooning pattern is different in the second from the first

福岡 裕人, 茅野 博行, 松井 泰樹, 小﨑 遼太, 宗次 裕美, 土至田 勉, 小林 洋一

Hiroto FUKUOKA, Hiroyuki KAYANO, Taiju MATSUI, Ryouta KOSAKI, Hiromi MUNETSUGU, Tsutomu TOSHIDA, Youichi KOBAYASHI

昭和大学医学部内科学講座循環器内科学部門

Department of Medicine Division of Cardiology, School of Medicine, Showa University

キーワード :

【背景】
たこつぼ型心筋症の再発は1-2%程度と報告されている.またたこつぼ型心筋症においてたこつぼ様の収縮障害部位は症例により様々である.
【症例】
70代女性.2005年10月に水泳中に,突然の胸背部痛を自覚し当科を受診.急性冠症候群を疑い冠動脈造影を施行したが,有意狭窄は認められなかった.左室造影と心エコー図所見では,ともに左室心尖部領域に無収縮を,心基部では過収縮を認め,たこつぼ型心筋症と診断した.経過観察していたところ第7病日目には心エコー図検査で壁運動は正常に改善した.その後外来で経過観察し問題なかったが,2014年12月6日食事を作っている際に突然の背部痛を自覚し近医受診し心電図上ⅡⅢaVFでST上昇を認め再度急性冠症候群,大動脈解離などが疑われ,当科紹介となった.造影CTで大動脈解離所見は認められず,緊急冠動脈造影施行したが,今回も冠動脈で有意狭窄は認められなかった.今回の左室造影では心室中部のみ全周性に無収縮であり,心尖部および心基部はともに過収縮を認め,前回のたこつぼ型心筋症時とは異なるたこつぼ形態を認めた.心エコー図検査でも同様に心室中部のみ全周性に無収縮の所見を認め,逆たこつぼ型心筋症と診断し入院経過観察することとなった.第6病日の心エコー図検査では心室中部の下後壁で壁運動低下が残存していたが,13病日の心エコーでは正常な完全に壁運動は正常化したため退院となる.
【まとめ】
たこつぼ型心筋症は約7割でストレスが誘因と報告されている.しかし中には原因不明のものもあり,本症例では1度目は身体的ストレスを受けた際に発症しており,2度目の原因は分かっていない.たこつぼ型心筋症で無収縮領域が心尖部型と非心尖部型で患者背景が異なっている報告はあるが,本症例は同一症例で原因が異なり,たこつぼ形態も異なっている2度のたこつぼ型心筋症を発症した.以上よりたこつぼ形態と原因は関連があるのではないかと考えられた.今回たこつぼ型心筋症の再発症例で,かつ無収縮領域に変化が見られた稀な症例を経験したため報告する.