Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 循環器
症例報告・感染性心内膜炎/その他 

(S529)

学校検診を契機に発見された僧帽弁瘤の一例

Asymptomatic mitral valve aneurysm detected by school health examination

森 理香子1, 面家 健太郎1, 寺澤 厚志1, 山本 哲也1, 後藤 浩子1, 桑原 直樹1, 桑原 尚志1, 田中 隆平2

Rikako MORI1, Kentaro OMOYA1, Atsushi TERASAWA1, Tetsuya YAMAMOTO1, Hiroko GOTO1, Naoki KUWABARA1, Takashi KUWABARA1, Ryuuhei TANAKA2

1岐阜県総合医療センター小児循環器内科, 2岐阜県総合医療センター循環器内科

1Department of Pediatric Cardiology, Gifu Prefectural General Medical Center, 2Department of Cardiology, Gifu Prefectural General Medical Center

キーワード :

【はじめに】
僧帽弁瘤は比較的稀な疾患であり,小児での報告例は少ない.今回,学校検診を契機に発見された僧帽弁瘤の一例を経験したので報告する.
【症例】
12歳女児.生来健康.学校検診でWPW症候群が疑われ近医受診.僧帽弁逆流と僧帽弁前尖の疣贅が疑われ当院紹介受診.NYHA分類Ⅰ度,20mmHg程度の上下肢血圧差を認めた.発熱など明らかな感染徴候は認めなかった.胸部レントゲン検査では心胸郭比45%,心電図検査は洞調律であり,WPW症候群を疑う所見は認めなかった.経胸壁心エコー検査では大動脈縮窄軽度,僧帽弁逆流軽度,大動脈弁逆流軽度を認めた.僧帽弁前尖の心房側に2.5cm大に突出した瘤状構造が認められた(Fig1)(Fig2は3D).当初,粘液種が疑われたため,経食道心エコー検査を施行,収縮期・拡張期ともにドーム状エコー(Fig3)を認め,ドーム内への血液の流入(Fig4)を認めたため,僧帽弁瘤と診断した.以後4年間経過観察しているが,僧帽弁逆流の悪化や瘤拡大などの変化は認めない.
【考察・結論】
小児では稀な僧帽弁瘤を経験した.診断において経食道心エコー検査が有用であった.僧帽弁瘤の成因に関しては先天性全身結合組織疾患に併発するものや,感染性心内膜炎に続発するものが知られているが,本症例では認められなかった.軽度大動脈縮窄症を合併していたが僧房弁瘤との関連は明らかではない.無症候性に小児期に発見されたという報告がほとんどなく,自然歴や発見後の経過など不明な点が残されている.成人において血栓形成や瘤の穿孔による急性僧帽弁閉鎖不全などの報告例はあるため,慎重な経過観察が必要である.