Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 循環器
症例報告・弁膜症2 

(S528)

僧帽弁置換10年後に生じた生体弁機能不全により溶血性貧血をきたした一例

A case of hemolytic anemia due to structural valve deterioration 10 years after mitral valve replacement with a bovine pericardial bioprosthesis

尾田 毅1, 田代 英樹2, 池上 新一3, 大塚 雅文3, 坂井 恭子3

Takeshi ODA1, Hideki TASHIRO2, Shinichi IKEGAMI3, Masafumi OHTSUKA3, Kyoko SAKAI3

1雪の聖母会聖マリア病院心臓血管外科, 2雪の聖母会聖マリア病院循環器内科, 3雪の聖母会聖マリア病院生理検査室

1Cardiovascular Surgery, St. Mary’s Hospital, 2Cardiology, St. Mary’s Hospital, 3Physiological Laboratory, St. Mary’s Hospital

キーワード :

症例は81歳女性.10年前に僧帽弁狭窄症,三尖弁閉鎖不全症,心房細動に対し,33mm Carpenter Edwardsウシ心膜弁による僧帽弁置換術,DeVega法による三尖弁縫縮術,肺静脈隔離術,左心耳閉鎖術を受けた既往あり.今回,労作時呼吸困難のため当院を受診した.胸部X線でうっ血性心不全を,血液所見で溶血性貧血(Hb8.3,LDH628,TB2.2)を疑った.経胸壁心エコーではウシ心膜弁のstructural deterioration(SVD)によると思われる偏在性逆流jetが見られた.経食道心エコーでは,偏在性逆流jetが生体弁のカフに当たり,mosaic flowが垂直方向に方向転換する様子を捉えることができ,これが原因で溶血性貧血をきたしていると推察された.併せて10x6cm大の内部エコー輝度不均一な巨大左心耳も観察された.29mm Mosaicブタ弁を用いた再僧帽弁置換術,26mm MC3リングを用いた再三尖弁縫縮術,巨大左心耳切除術を行った.手術所見では僧帽弁位の生体弁のposteromedial sideのstrut部分の弁尖に亀裂が入っており,SVDの所見であった.巨大左心耳はひょうたん型をしており,内部は新旧の血栓で充満していた.左心耳は左回旋枝と接していたが,feeding arteryの有無ははっきりしなかった.前回手術時に閉鎖した左心耳口は左房内腔から確認すると閉鎖されており,左心耳-左房間の血流の存在は否定された.生体弁を用いた僧帽弁置換術後のSVDにより生じた偏在性逆流jetが生体弁のカフにあたることで溶血性貧血をきたした様子を捉えたエコー画像は極めて稀であり,文献的考察と併せ報告する.