Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 循環器
症例報告・弁膜症2 

(S527)

大動脈弁置換術後仮性瘤によるparavalvular leakageを来した大動脈炎症候群の1例

Paravalvular leakage and pseudoaneurysm after aortic valve replacement in aortitis syndrome

齋藤 千紘1, 新井 光太郎1, 磯村 彰吾2, 林 慶子1, 福島 敬子1, 津久井 宏行2, 芦原 京美1, 山崎 健二2, 萩原 誠久1

Chihiro SAITO1, Kotaro ARAI1, Shogo ISOMURA2, Keiko HAYASHI1, Keiko FUKUSHIMA1, Hiroyuki TSUKUI2, Kyomi ASHIHARA1, Kenji YAMAZAKI2, Nobuhisa HAGIWARA1

1東京女子医科大学病院循環器内科, 2東京女子医科大学病院心臓血管外科

1Cardiology, Tokyo Women´s Medical University Hospital, 2Cardiovascular Surgery, Tokyo Women´s Medical University Hospital

キーワード :

症例は49歳男性.他院で大動脈炎症候群,大動脈逆流症,潰瘍性大腸炎の診断で経過観察中であった.2012年12月頃より労作時呼吸困難の増悪を認め,心エコー図検査では左室拡大を伴う大動脈弁逆流の増悪の診断で,手術目的に2013年6月に当院紹介入院となった.大動脈弁置換術(CEP Magna 25mm)を施行し経過良好で退院した.同年11月,胸背部痛,労作時の脱力感によるADL低下を認め,白血球数,CRP値の上昇を認めたため,大動脈炎症候群の増悪を疑った.ステロイド増量(プレドニゾロン7.5mg→30mg)を行ったところ,炎症反応の改善を認めた.プレドニゾロン10mgまで減量したが運動耐容能は低下したままであった.2014年7月に当院での心エコー図検査で大動脈弁位生体弁の周囲にecho free spaceおよび重度のparavalvular leakageを弁周囲の広範囲に認めた.さらに弁座の動揺を伴っていたため緊急入院となった.経食道心エコー図検査では,僧帽弁前尖から上行大動脈へ連続する14x15mmのecho free spaceを認め仮性瘤と考えられた.大動脈弁位生体弁は仮性動脈瘤により弁接合が不良となり,中等度のtransvalvular leakageを生じたと考えられた.1週間後の心エコー図検査では更に仮性瘤の拡大,paravalvular leakageの増悪を認めたため同日緊急手術となった.大動脈弁位人工弁は左冠尖,無冠尖部位の縫合糸がほぼ外れており,paravalvular leakageの原因になったと考えられた.左室流出路補強(Triplex 26mm),再大動脈弁置換術(OnX 21mm)を施行し経過良好で退院となった.大動脈炎症候群の患者では,組織の脆弱性のためparavalvular leakageがしばしば問題となることが多く,今後も注意深い経過観察が必要である.