Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 循環器
症例報告・弁膜症1 

(S525)

重症三尖弁閉鎖不全をきたした四尖化三尖弁の一例

A case of severe tricuspid regurgitation with quadricuspid tricuspid valve

田中屋 真智子1, 市川 啓之1, 山田 桂嗣1, 山本 和彦1, 藤山 香2, 萬城 智香2, 内田 享2, 大谷 悟3, 櫻木 悟1

Machiko TANAKAYA1, Keishi ICHIKAWA1, Keiji YAMADA1, Kazuhiko YAMAMOTO1, Kaori FUJIYAMA2, Tomoka BANJO2, Susumu UCHIDA2, Satoru OTANI3, Satoru SAKURAGI1

1国立病院機構岩国医療センター循環器内科, 2国立病院機構岩国医療センター検査科, 3国立病院機構岩国医療センター心臓血管外科

1Department of Cardiology, National Hospital Organization Iwakuni Clinical Center, 2Department of Clinical Laboratory, National Hospital Organization Iwakuni Clinical Center, 3Department of Cardiovascular Surgery, National Hospital Organization Iwakuni Clinical Center

キーワード :

【はじめに】
3次元経胸壁心エコー図検査(3DTTE)にて三尖弁の四尖化をとらえた重症三尖弁閉鎖不全(TR)症例を経験したので報告する.
【症例】
78歳男性.基礎疾患に慢性心房細動,前立腺癌あり.両下腿および顔面浮腫,労作時呼吸困難出現し,右心不全として近医で加療されていたが,心拡大進行するため手術加療の検討もかねて当院へ紹介受診となった.胸部X線および胸部CTでは著明な心拡大を認めた.経胸壁心エコー図検査では左房拡大(LAV56ml/m2),右室拡大,右房拡大をみとめ,三尖弁はtetheringと弁尖間距離最大18mmの高度離開を伴っており,重症TRを呈していた.左室の収縮は良好で左心系の弁膜症はなく,シャント疾患もみとめなかった.3DTTEにて精査したところ,三尖弁は4枚の弁葉で構成されていることが確認された.三尖弁の器質的異常が関与した重症TRによる右心不全であり,保存的加療は限界と考え三尖弁形成術が施行された.術中所見では前尖と後尖の間に余剰弁が認められ術前3DTEEと同様の所見であった.前尖と余剰弁を縫合して1枚とし,さらにパッチを用いて前尖を拡大する前尖拡大三尖弁形成術が施行された.術後の心エコー図検査で3枚の三尖弁間の接合は良好に得られており,TRも消失していた.自覚症状改善し術後23日で退院となった.
【考察】
三尖弁閉鎖不全症は,三尖弁自体の器質的異常による一次性(弁性)TRと,左心系の弁膜症,左心不全や心房細動の結果として生じる二次性(機能性)TRにわけられる.一次性TRにはEbstein奇形,感染性心内膜炎,弁逸脱,ペースメーカーリードによる損傷などがあり,重症の場合は手術が選択される.臨床的には,ほとんどのTRが二次性であり,そのため重症TR症例であっても左心系に外科的介入を必要とする病態がない場合は利尿剤投与など保存的加療を選択することが多い.一方,三尖弁にも大動脈弁や僧帽弁同様,2枚弁,4枚弁など弁葉の形態異常がある.3D心エコーを用いた三尖弁の連続症例での検討で2枚の弁葉症例が8%,4枚の弁葉症例が4%あったという報告もあり,三尖弁の器質的異常症例は従来考えられているより多いと思われ,これまで二次性の重症TRと考えられていた症例の中に,本症例の如く三尖弁の弁葉異常による一次性TR症例が含まれていると推測される.重症TRが三尖弁自体の器質的異常であれば治療の選択肢が異なってくるため,三尖弁の形態異常を検出することは大変重要である.三尖弁の面を描出するためには2Dより3D心エコーが有用であるが,2Dエコーでも心窩部アプローチを用いて面を描出することができる症例もある.重症TR症例では3Dを用いる,もしくは2Dで工夫することにより,積極的に三尖弁の形態異常を鑑別する必要があると思われた.