Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 循環器
症例報告・弁膜症1 

(S523)

僧帽弁前尖のcleftによる僧帽弁閉鎖不全症のため成人期に心不全を呈した一例

A case who developed heart failure in adulthood due to mitral regurgitation caused by an isolated anterior mitral leaflet cleft

玉置 俊介1, 山田 貴久1, 森田 孝1, 古川 善郎1, 瀬尾 昌裕1, 白川 幸俊2, 小牧 愛3, 中野 豊3, 福並 正剛1

Shunsuke TAMAKI1, Takahisa YAMADA1, Takashi MORITA1, Yoshio FURUKAWA1, Masahiro SEO1, Yukitoshi SHIRAKAWA2, Ai KOMAKI3, Yutaka NAKANO3, Masatake FUKUNAMI1

1大阪府立急性期・総合医療センター心臓内科, 2大阪府立急性期・総合医療センター心臓血管外科, 3大阪府立急性期・総合医療センター臨床検査科

1Division of Cardiology, Osaka General Medical Center, 2Division of Cardiovascular Surgery, Osaka General Medical Center, 3Clinical Laboratory Department, Osaka General Medical Center

キーワード :

【はじめに】
心房中隔欠損症・心室中隔欠損症・心内膜症欠損症などの先天性心疾患を伴わず,僧房弁のcleftのみを認める症例は非常に稀である.今回,我々は僧帽弁前尖のcleftによる重症僧帽弁閉鎖不全症のため,成人期に心不全症状を呈し,僧房弁形成術を施行した一例を経験したので報告する.
【症例報告】
44歳女性.小学校時代に心雑音を指摘された.23歳妊娠・出産時に経胸壁心エコー図検査にて僧帽弁閉鎖不全症を指摘され,以後定期的に心エコー図検査にて経過観察されていたが,平成21年から自己中断していた.平成25年10月頃から労作時呼吸苦が出現,平成26年4月に健診の胸部レントゲンにて心拡大を指摘され,心不全症状の増悪を認めていたため,精査加療目的にて当科紹介受診となった.経胸壁心エコー図検査では左心房・左心室の拡大,および重症僧帽弁閉鎖不全症を認め,原因は僧房弁前尖中央部のcleftによるものと考えられた.心房中隔欠損症・心室中隔欠損症・心内膜症欠損症などの先天性心疾患は認めなかった.同年8月に僧帽弁形成術を施行.術中所見では術前エコー図検査の診断通り,僧帽弁前尖A2の中央に深く切れ込んだ裂隙を認めた.cleft縫合と僧帽弁輪縫縮術にて逆流は消失し,術を終了.術後経過は良好であり,同月に軽快退院となった.
【考察】
僧帽弁のcleftのみを認め,その他の先天性心疾患を合併していない症例は稀であり,また成人期に外科的治療を施行した報告はこれまでほとんど無く,本症例は稀有な症例と考えられた.