Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 循環器
スペックルトラッキング 

(S508)

健常人の左室心筋重量に人種差はあるか? 3Dスペックルトラッキング法による検討

Does racial difference exist regarding left ventricular mass? : 3D speckle tracking study

水越 慶1, 2, 竹内 正明1, 永田 泰史1, 大谷 恭子1, 明石 嘉浩2, LANG Roberto m.3, 尾辻 豊1

Kei MIZUKOSHI1, 2, Masaaki TAKEUCHI1, Yasufumi NAGATA1, Kyoko OTANI1, Yoshihiro AKASHI2, Roberto m. LANG3, Yutaka OTSUJI1

1産業医科大学第2内科学, 2聖マリアンナ医科大学循環器内科, 3Noninvasing Cardiac Imaging Laboratory, University of Chicago

1Second Department of Internal Medicine, University of Occupational and Environmental Health, School of Medicine, 2Division of Cardiology, Department of Internal Medicine, St. Marianna University School of Medicine, 3Noninvasing Cardiac Imaging Laboratory, University of Chicago

キーワード :

【背景・目的】
左室心筋重量(LVM)は心血管イベントの予測因子であるが,測定の信頼性は心エコー図法よりも心臓MRI(CMR)の方が優れている.3Dスペックルトラッキング法(3DSTE)によるLVM測定はCMRに近い精度を有しているが,3DSTEによるLVMの正常値は明らかではない.本研究の目的は3DSTEを用いて健常例のLVMを測定し,性別・年代・人種による相違について検討することである.
【方法】
健常成人330名(日本人230名・欧米人100名,年齢45.5±16.1歳,男性166名)に対し3D心エコー図法を施行し,心尖部アプローチによりfull-volume dataを得た.3DSTE解析ソフト(4D LV-Analysis 3.1.2,TomTec Imaging Systems)を用いて心内膜と心外膜の境界を半自動的に決定し,LVMは(拡張末期心外膜容積−拡張末期心内膜容積)×1.05にて算出し,同時に左室拡張末期容積(LVEDV)・左室収縮末期容積(LVESV)・左室駆出率(LVEF)を求めた.
【結果】
日本人における体表面積補正を行った左室心筋重量係数(LVMI)は男性が女性よりも高値を示した(男性64.4±7.5g/m2,女性57.9±7.8g/m2, p<0.0001).また男性は女性と比較しLVEDV・LVESVが有意に高値,LVEFは有意に低値を示した.また,高齢群では若年群と比較してLVMI・LVEDV・LVESVがいずれも低値の傾向を示した.欧米人においてもLVMI・LVEDV・LVESVは男性が女性よりも有意に高値であった(LVMI:男性68.1±9.1g/m2,女性59.3±8.3g/m2, p<0.0001).日本人は欧米人と比較しLVM・LVEDV・LVESVがいずれも有意に低値であるが(all p<0.001),体表面積補正を行うと人種間で有意差は認めなかった.
【結論】
3DSTEによるLVMの正常値を性別・年代別・人種別に示した.値は過去のCMRによる測定値に近似していた.LVMIは女性と比較し,男性で有意に高値であり,またLVMIは人種間に有意差を認めなかった.