角 裕一郎^{1, 2}, 竹内 正明², 水越 慶^{2, 3}, 永田 泰史², 石津 智子⁴, 瀬尾 由広⁴, 出雲 昌樹³, 明石 嘉浩³, 青沼 和隆⁴, 尾辻 豊²

Yuichiro KADO^{1, 2}, Msaaki TAKEUCHI², Kei MIZUKOSHI^{2, 3}, Yasushi NAGATA², Tomoko ISHIZU⁴, Yoshihiro SEO⁴, Masaki IZUMO³, Yoshihiro AKASHI³, Kazutaka AONUMA⁴, Yutaka OTSUJI²

¹産業医科大学心臓血管外科, ²産業医科大学循環器，腎臓内科, ³聖マリアンナ医科大学循環器内科, ⁴筑波大学附属病院循環器内科

¹Department of Cardiovascular Surgery, University of Occupational and Environmental Health, ²Second Department of Internal Medicine, University of Occupational and Environmental Health, ³Department of Cardiovascular Medicine, St. Marianna University School of Medicine, ⁴Department of Cardiovascular Medicine, University of Tsukuba Hospital

キーワード :

【背景】
アミロイドーシスは細胞外器質への異常蛋白の沈着によって諸臓器症状を引き起こす．心アミロイドーシスの予後は一般的に不良であるが，その予測因子として左室のglobal longitudinal strain（GLS）が有用であると報告されてる．一方局所収縮能は心尖部でより保たれており，レベル毎のストレイン値は予後をより階層化できる可能性がある．
【目的】
心アミロイドーシスの患者において2次元スペックルトラッキング法（2DSTE）にり長軸方向のストレイン値を計測し，GLSおよび左室レベルにおける平均ストレイン値（base, middle, apical）を比較し，予後予測に対する有用性を検討すること．
【方法】
対象は心アミロイドーシス患者45例（42〜91歳，男性27名）．2DSTEを用いて心尖3断面からGLS，および各レベルにおける平均ストレイン値を計算した．また，心臓死の有無についてフォローアップ調査した．
【結果】
中央値361日の観察期間中に17人の心臓死を認めた．イベント発生群は非イベント発生群と比べ，GLSは有意に障害されていた（-8.7±3.4％vs. -11.8±3.9％，p=0.009）．また，平均レベルストレイン値でも有意差を認めた（Basal strain: -4.1±3.8 vs. -7.0±5.0％，p=0.044，Middle strain: -8.4±3.9 vs.-12.0±4.6％，p=0.011，Apical strain: -13.5±4.9 vs. -16.5±4.7％，p=0.038）．ROC解析によるGLSのカットオフ値は-9.37％であり，生存曲線はGLS＜-9.37群で有意に悪かった．また，GLS，レベル毎の平均ストレイン値によるROC曲線を比較すると，有意差は認めなかった．
【結語】
GLSは心アミロイドーシスの予後予測として有用であった．一方各レベルにおける平均ストレイン値がGLSより予後予測に有用であることはなかった．