Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 工学基礎
計測・熱的作用 

(S497)

チタン製前面板を有する耐音響キャビテーション堅牢型ハイドロホンの構造の再検討

Reconsideration on the structure of anti-cavitation durable hydrophone with titanium front plate

竹内 真一1, 岡田 長也2, 椎葉 倫久1

Shinichi TAKEUCHI1, Ngaya OKADA2, Michihisa SHIIBA1

1桐蔭横浜大学医用工学部臨床工学科, 2本田電子株式会社研究部

1Faculty of Biomedical Engineering, Department of Clinical Engineering, Toin University of Yokohama, 2Department of Research, Honda Electronics Co. Ltd.

キーワード :

HIFU治療装置やソノポレーション装置などによって発生されるキャビテーション現象を伴うような強力な音場でも計測可能なチタン製前面板を有する耐音響キャビテーション堅牢型ハイドロホンの開発を行っている.
この耐音響キャビテーション堅牢型ハイドロホンでは,水熱合成法を用いて,チタン製前面板の裏面(受音面と反対の面)に圧電素子としてPZT多結晶膜を成膜してある.通常の市販のハイドロホンを用いて,このようなキャビテーション現象を伴う強力な超音波音場を計測すると受音素子の電極が破壊されてしまうが,我々の開発した堅牢型ハイドロホンを用いるとチタン製前面板の効果により破壊されることなく計測することができるようになった.また,数値シミュレーションによる検討の結果,この背板にチタンよりも固有音響インピーダンスの低い材料を用いると,高い超音波周波数で受反感度の周波数特性が低下して,ハイドロホンの出力波形が実際の受信超音波波形を忠実に再現できないことが分かったので,受波感度の周波数特性を広帯域化するために,チタン製前面板の裏面の水熱合成PZT多結晶膜圧電素子の背面に導電性接着剤を用いてチタン製背板を接着してある.すなわち,このハイドロホンのコア部は,チタン製前面板とチタン製背板に水熱合成PZT多結晶膜の圧電素子が挟まれたサンドイッチ構造となっている.このハイドロホンのコア部をシースおよびシールドとして用いる真鍮製パイプに挿入して,コア部先端のチタン製前面板の周縁部と真鍮パイプ製のシースの間隙をエポキシ樹脂で封止していた.しかし,このエポキシ樹脂が時間の経過とともに劣化して脱落し,その後急激に受波感度が低下してしまった.
そこで,今回は,ハイドロホンの基本構造と製作手順を再検討して,この問題を回避可能な堅牢型ハイドロホンの開発を試みた.この新型の耐キャビテーション堅牢型ハイドロホンの作製に際しては,裏面に水熱合成PZT多結晶膜を成膜したチタン製前面板の周縁部をシースおよびシールドとして用いるチタン製パイプの端面に溶接した.その後,背板として用いるチタン製ワイヤの端面をチタン製パイプの反対側の端部から挿入して,導電性接着剤で水熱合成PZT多結晶膜に接着した.