Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 工学基礎
計測・熱的作用 

(S497)

インコヒーレント光源を用いた画像差分シュリーレン音場像の改善

Improvement of Ultrasound Field Images of the Subtraction Schlieren Technique using Incoherent Light Source

工藤 信樹1, 関根 大輝1, 山崎 聡2, 掛江 明弘2

Daiki SEKINE1, Nobuki KUDO1, Satoshi YAMAZAKI2, Akihiro KAKEE2

1北海道大学大学院情報科学研究科生命人間情報科学専攻, 2東芝メディカルシステムズ株式会社超音波事業部超音波開発部

1Division of Bioengineering and Bioinformatics, Graduate School of Information Science and Technology Hokkaido University, 2Ultrasound Systems Development Department, Toshiba Medical Systems Corporation

キーワード :

【背景・目的】
我々は,医療用超音波機器の超音波音場を簡便に可視化する画像差分シュリーレン法を提案し,その実用性の評価を行なってきた.従来装置ではレーザダイオード(LD)を光源としているため,音場画像にスペックルが含まれ,画質が低下するという問題があった.そこで今回はコヒーレンシーの低いLED光源を用いて画像改善を試みた結果について述べる.
【方法】
光源として波長850nm,パルス幅5nsのLDと波長624nm,パルス幅140nsのLEDの2種類を用いた.光源とカメラを対向して配置し,両者を結ぶ光軸上の中間点に水槽を置き,水槽上部に超音波診断用プローブを固定した.超音波の発生から光パルスの発光までのディレイを変化させることにより,任意の時相における超音波の瞬時音場をストロボ撮影した.実験では超音波診断装置(XarioTM SSA−660A,東芝)とセクタ型プローブ(PST−30BT)を用い,超音波焦点から光源側3mmの位置にカメラフォーカスを設定し,フォーカストシャドウグラムを撮影した.超音波を発生しない条件でも同様の撮影を行ない,差分を取ることにより音場画像を得た.
【結果および検討】
Fig.1(a),(b)にLD光源とLED光源を用いて,超音波診断装置のパルスドプラモードでプローブ表面から80mmの位置における焦点音場を可視化した結果を示す.(a)LDを用いて撮影した音場像に含まれているスペックルノイズが(b)LEDでは軽減され,コントラストが向上していることがわかる.また,それぞれの画像の音軸上における輝度分布とその空間積分波形を,ハイドロホンで計測した音圧波形と比較したグラフをFig.2に示す.ハイドロホン波形は焦点における圧力の時間変化を表わし,輝度分布はある瞬間における空間分布を表わすが,音速で換算して重ねて表示してある.輝度分布は(a)LDに比べ(b)LEDがなまり,輝度分布の積分波形とハイドロホン波形の類似性は(a)LDの方が(b)LEDより高かった.これはLDに比べLEDの方が点光源性が低く,パルス幅も長いことに起因するものと考えられた.