森 翔平¹, 平田 慎之介¹, 山口 匡², 蜂屋 弘之¹

Shohei MORI¹, Shinnosuke HIRATA¹, Tadashi YAMAGUCHI², Hiroyuki HACHIYA¹

¹東京工業大学大学院理工学研究科, ²千葉大学フロンティア医工学センター

¹Graduate School of Science and Engineering, Tokyo Institute of Technology, ²Center for Frontier Medical Engineering, Chiba University

キーワード :

【目的】
われわれは，病変肝から得られる超音波エコー信号の振幅分布特性が，異なる組織からの複数のレイリー分布の和で表現できることを示し，マルチレイリーモデルに基づく組織性状確率画像を提案・評価してきた［1，2］．しかし，組織中にスペックルエコーとならない非スペックル構造が存在する場合は非スペックル成分の除去が必要となる［3］．
本報告では，非スペックル信号を除去したマルチレイリーモデルを用いる線維組織画像化手法を示すとともに，非スペックル成分を含む肝病変組織構造モデルから作成した超音波画像を用いて提案手法の特性について評価を行う．
【方法】
非スペックル成分を含む肝病変組織構造モデルを用いて超音波画像を作成する．関心領域（ROI）中に高振幅の非スペックル信号が含まれる場合，マルチレイリーモデルのモデル化誤差は増加する．この高振幅の信号を，モデル化誤差が減少するように除去する．非スペックル信号を除去した後，マルチレイリーモデルを用いて線維組織の確率画像を求める．
【結果】
非スペックル成分を模擬した高密度散乱体を配置した肝病変組織構造モデルの散乱体分布をFig. 1（a）に，散乱体分布から超音波送受シミュレーションにより作成されたBモード画像をFig. 1（b）に示す．Fig. 1（b）に対し，非スペックル信号を除去せずに計算した線維組織画像をFig. 1（c）に，非スペックル信号を除去したマルチレイリーモデルに基づいて計算した線維組織画像をFig. 1（d）に示す．この結果から，提案手法により，非スペックル成分を含む肝病変組織においても適切な線維組織画像を得られることが示された．
以上の結果を踏まえ，臨床画像においても同様の評価を行った．臨床画像（Fig. 2（a））においてROI中に非スペックル信号を含む超音波画像をFig. 2（b）に示す．Fig. 2（b）に対し，非スペックル信号除去前，除去後に計算した線維組織画像をFig. 2（c），2（d）にそれぞれ示す．この結果，臨床画像においてもFig. 1と同様の結果が得られ，提案手法の有用性が示された．
【参考文献】
［1］T. Higuchi, et al.: Jpn. J. Appl. Phys. 53，07KF27（2014）.
［2］森翔平，他：日超医第87回学術集会，Vol. 41，Supplement, S478，Apr. 2014.
［3］樋口達矢，他：日超医第87回学術集会，Vol. 41，Supplement, S478，Apr. 2014.