Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 工学基礎
画像化技術② 

(S491)

水熱合成PZT振動子を用いた医療用コイル状ステータ超音波モータの基礎検討

Basic Consideration on Coiled Stator Ultrasound Motor for Medical Applications with Hydrothermally Synthesized PZT Poly-crystalline Film Transducer

大関 誠也1, 阿部 峻靖1, 守屋 正4, 入江 喬介2, 黒澤 実3, 竹内 真一1

Seiya OZEKI1, Toshinobu ABE1, Tadashi MORIYA4, Takasuke IRIE2, Minoru KUROSAWA3, Shinichi TAKEUCHI1

1桐蔭横浜大学大学院工学研究科医用工学専攻, 2マイクロソニック株式会社技術開発部, 3東京工業大学大学院総合理工学研究科物理情報システム専攻, 4首都大学東京名誉教授

1Graduate School of Biomedical Engineering, Toin Universtiy of Yokohama, 2R&D, Microsinic Co.,Ltd, 3Department of Information Processing Interdisciplinary Graduate School of Science and Engineering, Tokyo Institute of Technology, 4Professor Emeritus, Tokyo Metropolitan University

キーワード :

【はじめに】
近年,医療分野においてアテレクトミーや血管内超音波(IVUS: IntraVascular UltraSound)などの小型デバイスを用いた血管内治療が著しい発展を続けている.しかし,既に実用化されている回転駆動を伴う血管内検査・治療機器は体外に回転運動を行う駆動源を持つため,長く蛇行した血管内を経て動力を伝達する必要がある.そこで,動力を伝達するためのワイヤに負荷が掛り,回転が不均一になる問題や,負荷によるワイヤの断裂を防止するために使用時間に制限が生じるといった問題がある.そこで,これらの問題を解決するために,血管内で使用可能な小型モータの開発が行われている.
これまで我々は圧電セラミクス振動子を用いたコイル状ステータ超音波モータ(CS-USM: Coiled Stator UltraSound Motor)の作製を行い,回転速度及びトルクの測定結果などの報告を行ってきた.しかし,圧電セラミクス振動子を用いたCS-USMでは小型化に限界がある.そこで我々は更なる小型化を目指すため水熱合成法によるPZT多結晶膜振動子を用いたCS-USMの作製を提案する.
水熱合成PZT多結晶膜の特徴は成膜対象物であるTi基板の全面に成膜される.これにより,振動子の大きさはTi基板に依存するため,Ti基板を小さくすることで容易に振動子を小型にできる.今回は基礎検討として,大型Ti基板上に水熱合成PZT多結晶を成膜し,振動子として用いたCS-USMの試作,及び駆動実験を行った.作製したCS-USMを図1に示す.
【方法】
水熱合成法を用いてTi基板上にPZT多結晶の成膜を行い,振動子駆動用振動を作製した.作製した振動子の大きさは,長さ12 mm,幅3 mm,厚みは90μmである.音響導波路の素材はステンレス(SUS304)を使用しコイルの巻き数は8回とした.また,ロータの直径は0.56 mmである.この作製したCS-USMの駆動実験を行い,回転数の測定を行った.
【結果】
試作した水熱合成PZT多結晶振動子を用いたCS-USMの回転速度を測定した結果,印加電圧30 Vの時に最大で1100 rpmを確認した.