Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 工学基礎
画像化技術② 

(S490)

素子指向性を考慮した適応ビームフォーマ

Adaptive Beamformer Incorporating with Element Directivity

長谷川 英之1, 2, 金井 浩1, 2

Hideyuki HASEGAWA1, 2, Hiroshi KANAI1, 2

1東北大学大学院医工学研究科, 2東北大学大学院工学研究科

1Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University, 2Graduate School of Engineering, Tohoku University

キーワード :

【1.目的】
近年,超音波音響放射圧により発生するずり波のイメージングだけでなく[1],血流動態計測[2]など多くの領域で高速超音波イメージングを利用した研究が盛んである.高速超音波イメージングでは,送信に従来の集束ビームではなく平面波などの非集束ビームを用いるため,一般に空間分解能やコントラストが劣化する.本研究ではこのような問題を解決するため,適応ビームフォーマに関する検討を行った.
【2.原理】
適応ビームフォーマは,遅延和ビームフォーマにおける超音波プローブの各素子で受信した信号に乗じる重み(アポダイゼーション)を,受信信号に基づき適応的に決定する.その際に受信信号から算出する空間相関行列と所望信号(焦点からの散乱波)に相関があると所望信号も抑圧してしまうことから,空間相関行列に含まれる所望信号成分を抑圧する必要がある.そのための手法として,受信信号に含まれる所望信号を遅延和法により算出して空間相関行列から除去するAPES(Amplitude and Phase Estimation)ビームフォーマが開発された[3].しかし,APESビームフォーマは素子の指向性を考慮していないため,所望信号の推定精度が低い.本報告では,APESビームフォーマにおいて素子指向性を考慮することにより所望信号の推定精度向上を試みた.
【3.実験結果】
CIRS社製ファントムmodel 54GSを画像した.送信は平面波である.図(a),(b),(c)はそれぞれ,遅延和ビームフォーマ,従来のAPESビームフォーマ,改良APESビームフォーマにより得られたBモード断層像である(フレームレートはいずれも2174 Hz).図から,素子指向性を考慮することによりAPESビームフォーマに比べ改良APESビームフォーマの画質が大きく改善していることが分かる.それぞれの手法における横方向の空間分解能は,0.5 mm(遅延和),0.37 mm(APES),0.3 mm(改良APES)であった.
【4.総括】
本報告では,超音波プローブ素子の指向性を考慮することにより,適応ビームフォーマの性能を大幅に改善できることを示した.
【参考文献】
[1]Tanter, et al., IEEE Trans UFFC, 2002.
[2]Hasegawa, et al., IEEE Trans UFFC, 2008.
[3]Blomberg, et al., IUS2009,2009.