Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 工学基礎
画像化技術① 

(S488)

胎児3D表示における関心領域自動補正手法に関する検討

Automatic Correction of ROI for 3D Fetal Image

野口 喜実1, 柴原 琢磨1, 荻野 昌宏1, 前田 俊徳2, 永瀬 優子2, 小林 正樹2, 井上 信康2, 村下 賢2

Yoshimi NOGUCHI1, Takuma SHIBAHARA1, Masahiro OGINO1, Toshinori MAEDA2, Yuko NAGASE2, Masaki KOBAYASHI2, Nobuyasu INOUE2, Masaru MURASHITA2

1株式会社日立製作所横浜研究所, 2日立アロカメディカル株式会社第二メディカルシステム技術本部第一技術開発部

1Yokohama Research Laboratory, Hitachi, Ltd., 2Engineering R&D Department 1 Medical Systems Engineering Division 2, Hitachi Aloka Medical, Ltd.

キーワード :

【はじめに】
近年,超音波診断装置には,胎児の3Dレンダリング表示機能が標準的に搭載されている.明瞭な胎児の3D映像取得のためには,子宮壁や胎盤に代表される障害物をレンダリング範囲から除外するための関心領域の設定が重要である.関心領域の設定が不正確の場合,胎児が胎盤や子宮壁に隠れてしまう,また胎児の顔の一部が欠落表示されてしまう,といった問題が発生する.こうした問題へ対応するため,関心領域の設定は非常に細分化されているが,その結果,設定が難しく,検査時間の長大化という新たな問題を招いていた.
今回,この関心領域の煩雑な操作を不要とし,自動的に補正する手法を検討したので報告する.
【方法】
本手法はユーザが初期入力した関心領域から補正曲線を算出,補正し,最適な関心領域を生成する.一般に子宮壁や胎盤,胎児の輝度値は高く,羊水の輝度値は低い.そこで,子宮壁,胎盤と胎児の間に存在する羊水(低輝度)領域を通る曲線を高精度に算出する,動的計画法をベースとした大局的最適化手法を考案し,胎児形状の自動抽出を可能とした.
日立アロカメディカル社製超音波診断装置ARIETTA 70を用いてボリュームデータを収集し,補正前後における3D映像を比較した.なお,補正対象としては3D映像に最も影響する関心領域上辺とした.
【結果】
図1にユーザから入力された関心領域上辺(破線),本手法により生成した関心領域上辺(実線)を示す.また図2(a)および図2(b)にそれぞれの関心領域を用いた際の3D映像を示す.本手法により生成された関心領域は,胎児と子宮壁を適切に分離する位置に存在している.また図2に示すように,子宮壁の除外および胎児頭部の欠落改善が確認できる.
【まとめ】
動的計画法をベースとした大局的最適化手法による,関心領域の自動補正技術を開発し,ファントムによる実験・評価を行った.本手法により,より明瞭な3D映像を,簡便にかつ短時間に取得することが可能となる.
今後も,医療現場におけるワークフロー改善を実現すべく,画像処理を活用した技術開発を推進していきたい.
ARIETTA 70は日立アロカメディカル株式会社の登録商標です.