Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 工学基礎
画像化技術① 

(S487)

固有空間最小分散ビームフォーマによる脊椎麻酔下の穿刺針視認性向上に関する検討

Eigenspace Minimum Variance Beamforming for Ultrasound-guided Surgical Spinal Anesthesia

池田 貞一郎, LIANG Jack, 鱒沢 裕

Teiichiro IKEDA, Jack LIANG, Hiroshi MASUZAWA

株式会社日立製作所中央研究所

Central Research Laboratory, Hitachi Ltd.

キーワード :

【背景】
骨組織は超音波による内部の画像化が困難である.また骨組織と軟部組織の境界面近傍でも乱反射に起因する視認性劣化が生じる.これらの理由から,整形外科分野への超音波診断の適用は限られている.その中でも超音波による脊椎麻酔の針先ガイダンスは有望な応用例の一つである.一方で,椎体裏側の脊椎椎弓根からの反射が所望信号に干渉し,手術の関心領域を明瞭に画像化できないことが課題である.多数の方向からの乱反射成分が所望信号に混在する系において,MVDR(minimum variance distortionless response)の拡張である固有空間最小分散(ESMV: eigenspace minimum variance)法による超音波整相は課題解決の可能性を有する.ESMV法では,素子アレイで受信した信号のチャンネル間分散を抑える.次に素子アレイ信号の低エネルギー部分を雑音として排除し,高エネルギー部分のみを「信号」として選択的に利用する.これにより,明瞭な輪郭を持った骨組織周囲の超音波画像の生成が期待できる.
【目的】
ESMV法の信号と雑音空間分離を行うアルゴリズムにはソーナーやレーダーなどの分野で用いられている主成分(MC)分離法と,固有ベクトルごとのエネルギーで規格化したクロススペクトル(CS)法がある.また医用超音波を対象としてMCとCSを組合せた分離法(MC/CS)が検討されている.本報告では,これらの信号分離方法によるESMV法を用いた超音波B像の特徴を明らかにする.
【手法】
弱散乱体仮定の数値ファントムを用いて,点散乱体および高輝度領域,低輝度(嚢胞模擬)領域の描出能力を評価し,EWMV法の基本的特性を調べた.次に,超音波診断装置Prosoundα10による脊椎ファントムの実データによるB像エミュレーションを行い,ESMV法の脊椎撮像への有用性を評価した.
【結果】
脊椎ファントム近傍の穿刺針先の撮像結果を図に示す.ESMV法により,通常の遅延加算整相と比べて高コントラストの画像が得られた.一方で送信ごとの特徴的な受信パターンに鋭敏であるなど,実用化に際する課題も顕在化した.また,信号/雑音空間分離法の違いにより,B像の特性が大きく異なる.特に信号雑音分離法としてMC/CSの組合せを用いた場合,脊椎ファントムと穿刺針先の双方を背景に対し高コントラストで描出できた.