Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 工学基礎
マイクロバブル② 

(S478)

画像差分シュリーレン法を用いた細胞損傷検討のための小型容器底面近傍音場の評価

Evaluation of ultrasound fields near bottom of small chamber using image subtraction Schlieren technique

住吉 洸城, 工藤 信樹

Koki SUMIYOSHI, Nobuki KUDO

北海道大学大学院情報科学研究科生命人間情報科学専攻

Division of Bioengineering and Bioinformatics, Graduate School of Information Science and Technology Hokkaido University

キーワード :

【目的】
現在,超音波の生体作用に関する基礎的研究において,シャーレに培養した細胞に超音波を照射する実験が多く行われている.その際,超音波は水面で反射し容器内では定在波が発生するため,水位によって細胞が存在する底面の音圧は大きく異なると考えられる.しかし,ハイドロホン計測では小型容器内音場の実測は難しく,定量的な検討は行われていない.そこで本研究では,画像差分シュリーレン法を用いて,小型容器内の底面付近の音場に関して検討した結果について述べる.
【対象と方法】
実験では,中心周波数1 MHz,直径50 mmの平面振動子を用いた.光源とカメラの間に振動子上に置いた小型容器(45×10×15 mm)を配置し,超音波の発生から光パルスの発光ディレイ時間を変化させることにより任意の時相での超音波音場をストロボ撮影した.容器上部には,空気とほぼ同じ反射率の発泡スチロール,もしくは吸収係数5.6 dB/mm,厚さ20 mmの超音波吸収材を用いて作成した反射板を設置し,水面の高さを変化させ音場像の撮影を行った.各条件で光パルス発光のディレイ時間間隔を0.1μsecずつ変化させて40枚の音場像を取得し,超音波が水面と容器底面で各4回反射した後の伝搬を可視化した.
【結果と考察】
輝度の実測値から求めた超音波の反射率は水−スチロール境界で90%,水−アクリル底面で30%,水−吸収材境界で10%であった.各反射板について,容器底面から0.2 mm上の点が腹および節になる水位条件で,その点の輝度の時間変化を求め,進行波条件と比べた結果をFig.1.(a),(b)に示す.スチロール板を用いた条件では強い反射により定在波が発生した.輝度の振幅は進行波に比べて腹の位置で2倍,節で0.4倍程度であり,水面の高さによって5倍程度底面近傍の音圧が異なる可能性が示唆された.容器内で超音波が繰り返し反射する条件であるにもかかわらず,腹の位置で輝度振幅が進行波の2倍に留まったのは,底面での反射率の低さに起因するものと考えられる.また,吸収板を用いた条件では,輝度の振幅は腹で進行波の1.1倍,節で0.9倍であり,吸収板の効果により深さによる音圧変動が±10%程度に収まることが示唆された.
【結論】
輝度値と音圧との関係はほぼ線形と考えられるため,細胞播種面に加わる音圧の定量評価が可能であることから,本手法が超音波の生体作用の研究に有用であると考えられる.