Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 工学基礎
治療・生体作用 

(S472)

異なる周波数掃引超音波照射による殺細胞効果の検討

Comparison of different ultrasound sweep frequency patterns for cancer cell killing in vitro

渡邉 晶子, ムサビ ネジャド セイエデ, 遠藤 日富美, フェリル ロリト, 立花 克郎

Akiko WATANABE, Seyedeh MOOSAVI NEJAD, Hitomi ENDO, Loreto b. FERIL JR, Katsuro TACHIBANA

福岡大学医学部解剖学

School of Medicine, Anatomy, Fukuoka University

キーワード :

【目的】
近年,超音波の癌治療応用を目指し,様々な超音波照射条件による殺細胞効果の検討が行われている.本検討では異なる超音波周波数掃引における癌細胞の殺細胞効果を比較した.
【実験】
超音波振動子の音響放射面上に音響カップリングゲルを介して24ウェルプレートを設置した.超音波の照射直前にU937(濃度1×106 cells/mL)の細胞懸濁液を各ウェルに2 mLずつ播種した.中心周波数510 kHzで掃引幅±110 kHz,掃引間隔0.2 ms,パルス繰り返し周波数10 Hzの条件で超音波振動子を駆動し,U937に対して30 mW/cm2と80 mW/cm2の超音波を90秒または180秒間照射した.周波数掃引によって駆動周波数が400 kHzから620 kHzへ増加する場合と,620 kHzから400 kHzへ減少する場合の2つの異なる超音波照射直後の細胞生存率を,トリパンブルー染色法により測定した.
【結果】
周波数掃引方法と超音波照射を受けたU937の細胞生存率との関係をFig. 1に示す.細胞生存率は,超音波の照射を受けていないコントロールの生細胞数に対する超音波曝露後の生細胞数の割合から算出した.180秒間の超音波曝露,400 kHzから高周波方向へ掃引した場合の生存率は,30 mW/cm2のときに100.0±3.8%,80 mW/cm2のときに66.2±20.2%であった.これに対して620 kHzから低周波へ掃引した場合は,30 mW/cm2のとき94.3±1.7%,80 mW/cm2のとき34.5±4.7%であった.超音波周波数掃引方向によって細胞生存率が異なった.
【結論】
駆動周波数を高周波数から低周波数へ掃引する場合のほうが,殺細胞効果が高くなる傾向が見られた.この照射方法による,より効率的な超音波治療に応用できる可能性が示唆された.