Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 工学基礎
治療・生体作用 

(S471)

超音波画像ナビゲーション下での音響放射力による極細カテーテル誘導

Thin catheter control using acoustic radiation force under ultrasound image navigation

望月 剛, 鶴井 信宏, 桝田 晃司

Takashi MOCHIZUKI, Nobuhiro TSURUI, Kohji MASUDA

東京農工大学大学院生物システム応用科学府

Graduate School of Bio-Application & System Engineering, Tokyo University of Agriculture and Technology

キーワード :

【背景】
我々は抗がん剤治療等の治療効果向上と副作用軽減を目標に,音響放射力を用いてがん組織の栄養血管(目標:直径1mm以下)に極細カテーテルを挿入し,局所に高濃度の薬剤などを送達するシステム開発を行っている.既発表では目視可能な透明流路分岐部での極細カテーテル誘導実験に成功したが,生体内血管の様に目視不可能な状況でのカテーテル誘導は実現していなかった.
【目的】
本発表では目視不可能な生体血管内でも超音波画像ナビゲーション下で極細カテーテルを誘導可能な方法を開発したのでその報告をする.
【方法】
ポリエチレングリコールモノメタクリレートとポリエチレングリコールジアクリレートを主剤とし,目視不可能とするためのグラファイト粉末を混ぜ,トリエタノールアミンを促進剤とした生体模擬ファントムを製作した.このファントムの超音波減衰は2MHz超音波で0.07Np/cmであった.またファントム内には直径1.4mmの流路が直径1.0mmの2本の流路にト型で分岐する擬似血管流路が設置されている.極細カテーテルは外直径0.2mm,内直径0.05mmのPFA材チューブを用いた.手順として①血液模擬液を流路に流しドプラ3次元画像データを取得し,血管分岐の位置座標を得る.②その分岐座標部に誘導用超音波ビームを設定する.③極細カテーテルを模擬血管内に挿入しながら超音波Bモード画像上でカテーテル先端の位置を監視する.④その先端が血管分岐部に到達した時点で誘導用超音波を照射し極細カテーテルを目的の分岐部に誘導する.なお,我々は別の実験からカテーテル半径aと超音波の波数kとの積であるka値と放射力との関係を調べ,ka値が大きくなるに伴ってカテーテルへの作用力が増加する傾向があるが,ka=2付近で一旦この作用力が弱まる知見を得ている.そこで本実験での誘導用超音波周波数はこの付近を避けかつ生体での減衰が少ない超音波周波数2MHz(ka=0.84)を選択した.
【結果】
周波数2MHz,ファントム内音波通過距離4cmでの減衰後分岐点推定音圧300kPa,ka=0.84の誘導用超音波照射条件により,ト型流路の分岐において極細カテーテルを目的の流路内に誘導可能であった.その様子をFig.1示す.
【結論】
超音波画像ナビゲーションと誘導用超音波により,Bモード画像監視下で目視不可能なト型流路でも極細カテーテルの誘導を実現した.