Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

ワークショップポスター
血管 周術期における血管エコーの役割を検証する 脳血管疾患

(S460)

頸動脈ステント留置後の頸動脈プラークのエコー輝度変化の検討

Ultrasonic echogenic change of carotid artery plaque after carotid artery

森 宣, 徳山 耕平, 島田 隆一, 清末 一路, 田上 秀一

Hiromu MORI, Kohei TOKUYAMA, Ryuichi SHIMADA, Hiro KIYOSUE, Shuichi TANOUE

大分大学医学部附属病院放射線科

Department of Radiology, Oita University

キーワード :

【目的】
頸動脈ステント留置術(carotid artery stenting;CAS)は頸動脈狭窄に対して広く行われているが,CAS後のプラークのエコー輝度の性状についての報告は少ない.今回我々はCAS前後における頸動脈プラークの輝度変化について検討した.
【対象と方法】
2007年7月から2013年10月までにCASを施行した35症例39病変を対象とした.対象症例の平均年齢は72.2歳で平均観察期間は15.6ヶ月であった.エコー輝度の評価として,超音波画像で胸鎖乳突筋と頸動脈プラークのROI(region of interest)の比(plaque muscle ratio;PMR)を測定し,CAS前とCAS後のPMRの変化を測定した.超音波画像でのプラークのROIの測定は内頸動脈の再狭窄部の短軸像での観察とし,高度石灰化でプラーク内が音響陰影で観察できない症例や超音波像でプラーク自体が描出されていない症例は除外した.胸鎖乳突筋のROIの測定はプラークと同一断面で描出されている筋肉で測定したが,胸鎖乳突筋がプラークと同一断面で描出されていない症例では同一条件で撮像されている他の断面で計測を行った.
【結果】
CAS後の最終観察時におけるPMRがCAS前のPMRより高値を示したものが28病変,低値を示したものが11病変であった.術前PMRで高値(0.75以上)を示した例は除外した.術後を1カ月後,3-6か月後,6-12ヵ月後,12ヵ月以上の4群に分類し,それぞれの群で術前のPMRとの間にはいずれも有意差がみられ,術後はPMRは3ヵ月後に低下し,その後は上昇していく傾向が見られた.最終観察時に術前よりPMRが低値を示した11病変の平均観察期間は9.4ヶ月(1-17ヶ月),高値を示した28病変の平均観察期間は18.1ヶ月(1-59ヶ月)であり,平均観察期間が長いほどPMRは上昇する傾向が見られた.
【結論】
CAS前後で超音波画像における頸動脈プラークのエコー輝度はCAS後3カ月で低下し,その後は上昇する傾向にあり,術後早期のPMR低下はプラーク内の機械的破砕に伴う出血などを見ている可能性がある.また,その後はPMRが上昇し,プラークは安定化することが示唆された.