Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

ワークショップポスター
消化器 肝臓の硬さ診断:その精度と使途 GE

(S443)

肝エラストグラフィで肝硬度の経時的変化を観察し得たC型急性肝炎の1例

One case of acute hepatitis C that were able to observe the temporal change of the liver hardness by the liver elastography

朝井 靖二

Yasutsugu ASAI

東京労災病院消化器内科

Gastroenterology, Tokyo Rosai Hospital

キーワード :

症例は63歳の女性.C型肝硬変の夫と同居中で夫が怪我をした際に血液に接触する機会が幾度かあった.2014年1月下旬より全身倦怠感と食欲不振が出現し当院を受診した.受診時の血液検査はAST 1503U/L, ALT 1302U/L, T-bil 6.8mg/dlと肝胆道系酵素の上昇を認め,HCV抗体中力価陽性で,HCVRNA陽性および他のA,B,E各肝炎ウイルスマーカーは陰性であった.約半年前に行われた人間ドックでは肝障害はなくHCV抗体は陰性であった.輸血や鍼治療歴,経静脈的薬物使用歴などもなかったため,夫の手当てを行った際に感染したC型急性肝炎による肝障害と診断した.入院後,輸液と安静による保存的加療を開始したがトランスアミナーゼは改善と増悪を繰り返し,第60病日を過ぎてもHCVの完全排除にいたらず肝障害が遷延したため,第66病日からペグインターフェロンα2a 180μg/weekを開始した.開始後,トランスアミナーゼは改善しHCVRNAの低下を認めたため,第88病日に退院となった.退院後も定期的にペグインターフェロンα2a 180μg/weekを継続施行している.経過中,GE社製超音波装置LOGIQ E9を用いた肝エラストグラフィStrain elastography(S-MAP)にて複数回,肝硬度を観察したところ,トランスアミナーゼ上昇とともに肝硬度は固く表示され,改善とともに固さが改善した.肝エラストグラフィは肝臓の線維化診断を非侵襲的に行えるツールとしてその有用性が報告されており,急性肝炎に対する報告も散見されるようになった.今回の測定では,肝硬度はトランスアミナーゼの推移と概ね相関しており,肝炎重症化の予知などに利用できる可能性があると考えられた.