Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

ワークショップポスター
消化器 消化管診断:超音波でどこまで診断できる?どこまで診断すべき? 回盲部・虫垂

(S440)

急性虫垂炎における当院のスコア評価における有用性

Usefulness of the score evaluation of acute appendicitis in our House

前山 美誠1, 野島 大亮1, 池田 大輔2, 上田 美和2, 山森 一樹2, 奥野 智久3, 城月 順子3, 村橋 邦康3, 澤田 鉄二3

Misato MAEYAMA1, Daisuke NOJIMA1, Daisuke IKEDA2, Miwa UEDA2, Kazuki YAMAMORI2, Tomohisa OKUNO3, Jyunko SHIROTSUKI3, Kuniyasu MURAHASHI3, Tetsuji SAWADA3

1大阪掖済会病院放射線科, 2大阪掖済会病院消化器内科, 3大阪掖済会病院消化器外科

1Department of radiology, Osaka Hospital of Japan Seafarers relief Association, 2Department of Gastrointestinal Medicine, Osaka Hospital of Japan Seafarers relief Association, 3Department of Gastrointestinal Surgery, Osaka Hospital of Japan Seafarers relief Association

キーワード :

【はじめに】
当院では急性腹部疾患に対して出来る限り腹部超音波検査で診断を行うようにしている.今回急性虫垂炎に対して各評価項目に点数をつけ炎症の程度を簡単に鑑別できるようスコア表示を行った.
【方法】
当院では右下腹部通に主訴とした患者に対して,虫垂炎と診断する場合に画像所見を項目ごとに点数化し評価している.2013年2月から2014年11月の中で急性虫垂炎と診断し手術を行った34例で正確性について検討した.まず,主項目の内容としては①虫垂に一致して圧痛を認めた場合を1点,②粘膜下層の状態として層構造は明瞭で肥厚のみは1点,層構造は比較的明瞭だが部分的に不整や菲薄化している場合は2点,粘膜下層は不明瞭で評価困難な場合を3点,次に補助項目として③径の評価として,6mm以上8mmは1点,径:8mm〜10mmは2点,径:10mm以上または計測困難な場合(正常径でも虫垂から突出する低エコーや膿瘍認める場合)は3点とし,④虫垂周囲もしくは周辺や腹腔内にfluidを認める場合を1点,⑤虫垂間膜や周囲脂肪織の肥厚を認めた場合を1点,⑥虫垂から突出する低エコーや明らかな膿瘍を認めた場合は1点,⑦血流シグナルとしては,粘膜下層に一致してスポット様または豊富に認める(粘膜下層は比較的明瞭)場合を1点,粘膜下層に一致してスポット様または豊富に認める(粘膜下層不整または部分的に断裂)場合は2点,粘膜下層が不明瞭で血流は認めないか欠損を3点としこれら7項目で点数を付けた.主項目の2点を認めたものを虫垂炎と診断し炎症の程度を点数化した.カタル性4点〜5点,蜂窩織炎性6点〜9点,壊疽性では10点〜11点,穿孔性13点と診断し正診率をだした.
【結果】
34例中虫垂炎ではなかった症例は認めず虫垂炎の診断としての正診率100%という良好な結果がでた.炎症度スコア評価では34例中32例がエコー所見と病理所見が一致し正診率も94%という良好な結果がでた.34例中2例だけエコー所見と病理所見が一致しなかった.
【考察】
誤診した2例は共に糞石を認めその為に径の拡大などで高い点数をつけてしまい炎症を強く読んでしまう傾向にあります.糞石などがある場合,径の拡大があるとスコア評価は困難になると思われます.糞石を認め径の拡大が乏しい症例やそれ以外の虫垂炎に対する当院のスコア評価は炎症の程度を診断する上で有用性があると考えられた.