Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

ワークショップポスター
領域横断 超音波ガイドラインのあり方を探る 肝臓

(S418)

造影超音波医学のために

Contrast Enhanced US for Ultrasonics in Medicine

三神 信太郎, 三島 沙織, 野崎 雄一, 小島 康志, 今村 雅俊, 正木 尚彦, 大西 真, 柳瀬 幹雄

Shintaro MIKAMI, Saori MISHIMA, Yuichi NOZAKI, Yasushi KOJIMA, Masatoshi IMAMURA, Naohiko MASAKI, Shin OHNISHI, Mikio YANASE

国立国際医療研究センター病院消化器内科

Gastroenterology and Hepatology, National Center for Global Health and Medicine

キーワード :

【背景】
第2世代超音波造影剤であるペルフルブタン(ソナゾイド®)が2007年1月に発売され,8年が経過した.造影剤超音波検査の肝腫瘤に対する感度と特異度は,Dynamic CT/MRIと比べ遜色がない一方,検査手順の煩雑さや技術の普及に課題を抱えている.
放射線検査用の造影剤と同様に,ペルフルブタンも時間濃度曲線により,至適タイミングの検討がされている.リアルタイムに観察する造影超音波検査では,このような検討は不要にも思えるが,各時相はペルフルブタンの投与量,投与速度,静脈ルートの位置に影響されるため,各施設で行われる造影超音波検査の均一化には必須といえる.
Dynamic CT/MRI撮影の至適タイミングの検討を可能にしたのが,造影剤の自動注入装置である.肝ダイナミック検査では,造影剤を毎秒3ml前後で一定に注入する必要があり,用手的な投与は難しい.それを可能とした造影剤の自動注入装置は,放射線医学に2つの変革をもたらしている.
1つは,投与プロトコルの客観的な比較を可能とし,各施設間のDynamic CT/MRIの均一化が向上したことである.どの施設でも一定の条件で行えるからこそ,Dynamic CT/MRIが普及したとも言える.もう1つは,自動注入装置が造影放射線検査の適応を拡大し,結果として,診療放射線技師による造影剤の静脈内投与を,法的に可能とすることである.
超音波造影剤専用の自動注入装置(ソナゾイド・ショット)は,2014年11月に薬事承認され,2015年4月に上市が予定されている.この装置は,超音波学にも変革をもたらす可能性があり,造影超音波医学の幕開けを予感させる.
経静脈的な薬物投与は,医師・看護師のみが許されている医療行為とされる.しかし,2015年1月現在の診療放射線技師法には,自動注入装置を用いた放射線造影剤の投与を,技師の業として定める法的根拠がない.造影CT/MRI検査は,自動注入装置による造影剤投与のもとで,おもに診療放射線科技師が長らく行ってきた.これはあくまでも特定行為であって,法定行為ではない.そこで日本診療放射線技師会からの要望に基づき,自動注入装置を用いた造影剤の静脈内投与を,診療放射線技師の法定行為とするか検討された.その結果,2015年4月に厚生労働省が同法第24条の改正を予定している.
【目的】
自動注入装置の上市と法改正により,2015年4月以降,診療放射線技師による造影剤投与が可能となった場合,私たちは造影超音波検査の認識を変えていく必要があるかもしれない.
現在改正予定のない臨床検査技師法のもと,臨床検査技師がペルフルブタンを静脈内投与し,造影超音波検査を行うことについて,自動注入装置,特定行為,適応拡大を交え意見交換したい.