Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

奨励賞演題
体表臓器 

(S414)

超音波による頸椎症の診断方法

Diagnosis Accuracy of Cervical Radiculopathy under the Ultrasound

竹内 幹伸1, 神谷 光広1, 若尾 典充1, 平澤 敦彦1, 木場 久美子2, 黒田 泰子2, 塚本 実奈子2, 岸 孝彦2, 高安 正和1

Mikinobu TAKEUCHI1, Mitsuhiro KAMIYA1, Norimitsu WAKAO1, Atsuhiko HIRASAWA1, Kumiko KIBA2, Yasuko KURODA2, Minako TSUKAMOTO2, Takahiko KISHI2, Masakazu TAKAYASU1

1愛知医科大学脊椎脊髄センター, 2愛知医科大学中央検査部

1Department of Spine Center, Aichi Medical University, 2Center of Laboratory, Aichi Medical University

キーワード :

【目的】
頸髄から分岐した頚神経根の断面積は8-10 mm2程度で非常に細くMRIでは同定できない.しかし,体表超音波では頚神経を同定することが可能である.そこで我々のチームは体表超音波で頚神経根の形態学変化を同定することにより,頸椎症を診断できないかと考えた.本研究の目的はGolden Standardを頸椎MRIとした体表超音波的頸椎症診断の感度,特異度を求めることである.
【対象】
本研究は当院倫理委員会により承認されている他施設共同前向き研究である(No.13-001).2013年1月-2014年10月までの期間で頸椎症を疑われ当院を含めた関連3施設を受診し,頸椎MRIから頸椎症による罹患神経根を同定できた73人を対象とした.
【方法】
神経所見,頸椎MRIの結果を知らない医師または検査技師が体表超音波(低周波Linear probe)で,左右第6,7頚神経の断面積を測定する.そのうち,神経症状と頸椎MRI(Golden Standard)で確定診断をつけた罹患頚神経根(罹患群)と健常人頚神経根(Control群)の断面積を比較検討した.なお,Control群のサンプルサイズは罹患群の約3倍の219名とした.
【結果】
第6頸神経障害(C6CR)46名(平均年齢52±12),第7頸神経障害(C7CR)27名(平均年齢51±12),患者背景に有意差はなかった.超音波検査ではC6CR患者の第6頚神経断面積中央値(C6med); 20.4 mm2(range 12.6-37.3),健常人C6med; 10.9 mm2(range 4.7-20)であり有意差を認めた.また,C7CR患者の第7頚神経断面積中央値(C7med)18.6 mm2(range 10.1-37.9),健常人C7med; 8.9 mm2(range 2.8-25.4)でも有意差を認めた.ともに患者群では健常者に比べて罹患神経根は著明に浮腫性変化をおこしていた(図).Receiver Operatorating Characteristic curve解析の結果,正常と罹患頸神経根のcut-off値はC6が15 mm2(感度91%,特異度93%),C7が12.6 mm2(感度93%,特異度87%)となった.
【結語】
体表超音波を用いて頚神経根を調査すれば,容易に頸椎症を診断できる可能性がある.