英文誌(2004-)
特別プログラム 運動器
パネルディスカッション 運動器 関節リウマチの日常検査法を考える
(S401)
非常勤技師によるリウマチ関節超音波検査の現状
Current status of rheumatic joint ultrasound examination by part-time engineer
平賀 真雄
Masao HIRAGA
霧島市立医師会医療センター医療技術部放射線室
Department of Radiology, Kirisima Medical Center
キーワード :
【はじめに】
近年,超音波装置の進歩により,解像度の高いBモード画像が提供されるようになった.高周波領域を用いた表在組織では,より鮮明な画像を描出することが可能となり,関節超音波検査(以下関節US)が急速に普及している.リウマチ診療での関節USでは,日本リウマチ学会が平成26年度に「わが国におけるリウマチ学の研究,教育,診療の水準を向上発展させることを目的として」登録ソノグラファー制度を設け,医師技師あわせて237名が登録されている.しかし,日超医で認定されている腹部や循環器などのソノグラファーと比較すれば,まだまだ少ないのが現状である.特に地方では研修を受講できる機会も少なく,都市部と比べ普及のスピードは高くない.今回,ソノグラファーがいないリウマチ専門クリニックで非常勤として関節USを実施している筆者の経験を報告する.
【検査実施施設】
リウマチ専門医1名,登録リウマチケア看護師2名を含む看護師5名,事務職員4名,非常勤診療放射線技師1名(筆者),非常勤臨床検査技師1名の無床診療所である.関節USを実施しているのは,主に筆者であり,医師は診療の合間に診察室で必要最小限の関節を観察されている.2014年1月〜12月の保険請求された関節US件数は211件であり,筆者が実施した件数は165件であった.
【使用装置】
日立アロカNoblusプローブはL64(18-5MHz)L34(7-3MHz)である.装置の選定理由はBモードの画質と被験者への多方向からのアプローチの容易さを考慮しコンパクトタイプとした.
【検査内容】
筆者が行っている検査は予約制である.検査の依頼目的は鑑別診断・治療効果判定・寛解時検査の3種類に大別される.鑑別診断での観察関節は両側手指関節,両手関節,腫脹や痛みのある関節である.治療効果判定では両手指,手関節と前回検査で異常所見のあった関節で,寛解時は上肢,下肢の40関節を対象としている.検査時間は鑑別診断平均30分・治療効果判定20分・寛解時検査60分程度である.
【画像保存】
静止画像はフクダ電子FEV-80RにJPEG形式で保存し,動画は装置搭載HDDに保存している.
【結果報告】
File Maker Proを用いた自作データベースで所見を記載し,PDFに変換後FEV-80Rに保存している.所見記載内容は観察関節ごとの関節滑膜炎の評価をグレースケール,パワードプラのグレーディング評価と骨びらんの有無を表形式で記入し,関節滑膜炎以外(腱鞘滑膜炎や腱板断裂など)の所見はコメント欄に記入している.特に注意すべき所見があった場合は医師に直接口頭で詳細な報告を行っている.