Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 運動器
シンポジウム 運動器2 運動器エコーの現状と将来を医師・臨床検査技師・理学療法士が熱く語る

(S398)

超音波で診るリウマチ性疾患

Understanding and managing rheumatic diseases with ultrasound

池田 啓

Kei IKEDA

千葉大学医学部附属病院アレルギー・膠原病内科

Department of Allergy and Clinical Immunology, Chiba University Hospital

キーワード :

筋骨格超音波検査(関節エコー)は,皮下より骨表までの軟部組織を詳細に描出可能である.また,ドプラモードの向上により,炎症組織に認められる血管拡張,新生血管を高感度に検出可能である.そのため,関節エコーはリウマチ性疾患rheumatic diseasesに特徴的な炎症所見である,滑膜炎synovitis,腱鞘滑膜炎tenosynovitis,滑液包炎bursitis,付着部炎enthesitis,腱炎tendinitis/腱周囲炎peritendinitis,ならびに結晶沈着症crystal deposition(尿酸ナトリウム結晶,ピロリン酸カルシウム結晶,塩基性リン酸カルシウム結晶)を評価可能である.さらに関節エコーは,リウマチ性疾患に特徴的な骨表変化である,骨びらんbone erosionならびに骨棘osteophyte/enthesophyteを高感度に評価可能である.
その結果,関節エコーは代表的リウマチ性疾患である,関節リウマチrheumatoid arthritis(RA),変形性関節症osteoarthritis,乾癬性関節炎psoriatic arthritis(PsA),強直性脊椎炎ankylosing spondylitis(AS),リウマチ性多発筋痛症polymyalgia rheumatic(PMR),および結晶沈着性関節炎crystal-induced arthropathiesの診断に有用な情報を提供する.また,関節エコーにより,炎症の正確な活動性評価,正確な寛解評価が可能であり,関節エコーを治療ガイドとすることにより,治療不足ならびに過剰治療を避け,構造破壊を予防する最適な治療が可能となる.
さらに関節エコーは,リウマチ性疾患の病態を明らかとする研究手段,リウマチ医および患者の教育手段,医師または技師と患者のコミュニケーション手段,ならびに穿刺注射の補助手段として有用であり,さらなる普及が期待される.