Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 血管
ワークショップ 血管1 周術期における血管エコーの役割を検証する

(S385)

末梢動脈血行再建周術期における血管超音波検査の役割

The role of vascular ultrasonography in the perioperative period of peripheral artery revascularization

大谷 則史

Norifumi OTANI

製鉄記念室蘭病院心臓血管外科

Department of Cardiovascular Surgery, Steel Memorial Muroran Hospital

キーワード :

心臓血管外科日常診療において,血管エコー検査は必要不可欠である.特に周術期における血管エコーの役割はあらゆる場面で重要な機能および画像診断検査である.血行再建周術期における必須の情報として以下に示す至適時期における正確な評価ができることが重要である.
1)末梢病変のスクリーニング,病変の適切な診断
 高度石灰化病変に関しては,画像診断の精度はどの検査法においても限界がある.しかし超音波検査法では画像診断と血流評価を併用することで高度石灰化病変部位の閉塞所見を正確に判断可能である.特に流入動脈,流出動脈の評価も重要である.
2)血行再建時の適切な代用血管の選択・評価
 血行再建時の代用血管が適切に使用できるか,術前に判断できることは血行再建成功の鍵であり,超音波検査が最適である.また,使用可能と判断されれば採取部位の同定,機能評価としての代用血管全長にわたる拡張性などを適切に評価できる.
3)血行再建時の吻合部位決定
 血行再建時の吻合部位の選択の判断は画像診断では適切に判断できないことが多い.しかし,超音波検査では石灰化が軽度な部位の評価,血管径の適切な評価が可能であるが最終的には選択的動脈造影によって判断する必要となる.
4)術後のグラフトサーベイランス
 血行再建後のグラフトサーベイランスは非常に重要であり,急性閉塞を回避するにも緻密な経過観察が重要である.また,無侵襲検査であり,腎不全患者に対して頻回に検査可能であり外来検査として最善の検査法である.
5)緊急対応検査について
 全身状態不良時,集学的治療で移動困難時のベッドサイド検査が可能であり,即時に診断評価ができる利点がある.
画像・機能診断における無侵襲検査である超音波検査の優位性,血行再建後のグラフト機能不全等の評価における超音波検査の優位性について,他の画像診断とも比較し医療コスト,検査の再現性,軟部組織の病態評価も含め検討する.