英文誌(2004-)
特別プログラム 血管
ワークショップ 血管1 周術期における血管エコーの役割を検証する
(S384)
周術期における血管エコーの役割を検証する
Role of vascular Ultrasound in Perioperative period
吉牟田 剛
Tsuyoshi YOSHIMUTA
金沢大学循環器内科/保健管理センター
Division of Cardiovascular Medicine, Kanazawa University Graduate School of Medical Scinece
キーワード :
胸腹部血管疾患は,大動脈解離と胸腹部大動脈瘤に代表される.近年,これらの疾患に対する治療法として,侵襲度の低いステントグラフト内挿術が行われるようになったが,解離の範囲や瘤の存在部位によっては,開胸開腹による人工血管置換術が適用されることも少なくない.手術の合併症として,開胸部の血腫,出血,人工血管吻合部からの出血,血管損傷,人工血管感染,血栓による末梢動脈,脳動脈塞栓などが挙げられ,術後管理においてはこれらの合併症の兆候を素早く見つけることが肝要である.
血管エコー法は,血管壁や内腔の性状と同時に,生理的な状態における血流状態を観察できる検査法である.最大のメリットは,ベッドサイドで迅速かつ簡便に行うことができるため,術後にICUにおいても適用しやすく,合併症を早期に評価することが可能な点である.
本ワークショップでは,胸腹部血管疾患に対する血管エコー法と主な疾患の診断に有用な所見を提示しながら,周術期の血管エコーの役割について概説したい.