英文誌(2004-)
特別プログラム 血管
シンポジウム 血管 Vascular accessの管理と治療にエコーを活かす
(S373)
当院におけるバスキュラーアクセス超音波検査について
For vascular access ultrasound examination in our hospital
三輪 尚史
Naofumi MIWA
名古屋共立病院バスキュラーアクセス治療センター
Vascular Access Medical Treatment Center, Nagoya Kyouritsu Hospital
キーワード :
【はじめに】
近年,超音波パルスドプラ法による上腕動脈血流量(FV)および血管抵抗指数(RI)の機能評価測定が狭窄の有無や程度を知る上で有用との報告が多い.今回は当院におけるバスキュラーアクセスの超音波検査について報告する.
【VAの評価】
当院では血流不全や静脈圧上昇など臨床症状があった場合や,止血不良,シャント音低下が見られた場合はシャントエコーを第一に行っている.BモードやカラードップラやBフローを用いてバスキュラーアクセスの血管径を測定する形態評価と超音波パルスドプラ法を用いて上腕動脈のFV,RIを求める機能評価を行っている.
形態評価は当院ではBモード,カラードプラ,Bフローを使用して評価している.形態評価で気をつける点はBモードのみでは内膜を見落としやすく,カラードプラはブルーミングを起こし血管を過大評価する可能性があり,低ブルーミングを実現したBフローはポータブルエコーでは使用できないといったことがある.
以前,我々が累積相対度数の検討より求めた値をもとに機能評価判定を行っており,FVは自己血管で350ml/min以下,人工血管で500ml/min以下,RIは自己血管で0.61以上,人工血管で0.57以上をバスキュラーアクセスの機能低下と見なし,形態評価で有意狭窄があり且つ臨床症状が出現していれば造影を行い必要であればシャントPTAを施行している.このとき注意しなければならないことは狭窄部の近傍に側副血行路の発達が見られるとFV,RIともに問題がないが臨床症状が出現してくることがある.
【おわりに】
VA評価は狭窄部の特定を行う形態評価,FV,RIを測定する機能評価の両方を行い総合的に判断すること,また機能評価の正しい測定方法やバスキュラーアクセス超音波画像の特徴を知ることが重要であると考えられる.また,バスキュラーアクセス超音波検査の特徴を知ることで治療の必要な時期を予測できると考えられた.