Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 泌尿器
ワークショップ 泌尿器2 泌尿器科領域の挑戦的研究

(S367)

ウロダイナミクスにおける空中超音波ドプラを援用した新規装置の有用性

Efficacy of New Device used by wearable airborne ultrasound Doppler System in the field of urodynamics

松本 成史, 竹内 康人, 柿崎 秀宏

Seiji MATSUMOTO, Yasuhito TAKEUCHI, Hidehiro KAKIZAKI

旭川医科大学腎泌尿器外科学講座

Department of Renal and Urologic Surgery,, Asahikawa Medical University

キーワード :

高齢化社会の到来に伴い,排尿障害で受診する患者は増加の一途であり,排尿障害(下部尿路機能障害)の診断や治療法の選択に排尿機能検査である尿流動態(ウロダイナミクス)検査は必要不可欠な検査である.この検査にも様々な種類があるが,より自然な排尿状態を的確に,かつ無(低)侵襲に診断する必要がある.ウロダイナミクスの中で尿流測定は,非常に簡易で非侵襲な検査であるが,特殊な環境下で「尿器(便器)の側にセンサ一式を装備する」装置に排尿することにより測定する検査法であり,普段の自然な排尿を反映しているとは言い難く,「より自然な排尿状態を何時でも何処でも,的確に診断する」装置の必要性が望まれてきた.われわれは,「排尿を行う人体の側に装備され得る,または独立した動作可能な非接触間接計測方式で測定できる」新規尿流測定装置を開発した.これは従来型(現行型)の思想を廃する物である.この概念を確立するため,この目的に特化した空中超音波連続波ドプラシステムを開発し,得られた超音波ドプラ信号の時系列周波数スペクトグラムを観察・計測したところ,従来型装置で得られるのと定性的に等価な尿流波形を得た.更に周波数スペクトラムの局所重み付け積分等により,これも従来型で得られるのと定量的に等価な排尿量,尿流率等の測定も確立でき,新規医療装置として薬事申請する段階に至った.また,尿滴が本装置に付着した場合等の対応として,防滴構造の検討も実施した.空中超音波連続波ドプラを用いることで,「より簡単に,より自然に,通常の排尿を何時でも何処でも」尿流測定が施行出来ことが証明された.新規医療機器の開発,その概要および有用性について発表する.
なお,本研究は,独立行政法人科学技術振興機構平成23-24年度「研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)探索タイプ」(AS232Z01208F)および文部科学省平成25年度「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」の支援を得て実施した.