Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 泌尿器
シンポジウム 泌尿器 泌尿器科疾患の診療プロセスにおける超音波検査の役割(第40回日本超音波検査学会との共同企画)

(S357)

検査士が超音波専門医に期待すること

Ultrasonographer expect to Board Cerrtified Fellow

関根 智紀

Tomoki SEKINE

総合病院国保旭中央病院中央検査科

Department of Laboratory, Asahi General Hospital

キーワード :

【はじめに】
医療の現場で超音波検査の果たす役割は大きく,その多くを超音波検査士が担当する機会が増えてきている.超音波検査士とは日本超音波医学会が認定する技師であり,領域別に検査士ライセンスが設けられ,これまでに延べ21105名が誕生している.その技術は,学会の場や施設内で検査の精度・研究・教育が推し進められている.
今回,日超医第88回学術集会と日超検第40回学術集会の場で「泌尿器科疾患の診療プロセスにおける超音波検査の役割」が共同企画され,泌尿器科分野の教育そして超音波検査の役割の向上が進められることになった.これからの在り方を考えるとして,①泌尿器科領域における検査の現状,②超音波専門医に期待すること,について述べてみたい.
【泌尿器科領域の検査の現状】
超音波検査士は実数12069名,その内訳はライセンス延べ数21105名,消化器領域8082名,泌尿器領域約1200名などである.超音波専門医の内訳は,腎・泌尿器科領域で約50名である.
現状をさらに把握するため,日本超音波検査学会代議員178名(153施設)にアンケート調査(発表時提示)をしたところ,日常検査において泌尿器科領域の検査を進めるうえで様々な問題点が見えてきた.例えば,腎・泌尿器科領域の専門医が極端に少ないことが判明,日常検査の流れは肝胆膵に引き続き腎〜膀胱〜前立腺まで進められている,これらの検査依頼数は多い,検査で悩むとき技師同士の相談が多く医師との接触が少ない,技師への泌尿器科領域の教育が不十分,指導者がいない,検査士のみでの学習には限界があり泌尿器科領域の専門医に教育を担当してほしい,など多くの意見が寄せられた.
【超音波専門医に期待すること】
超音波検査の展開は,誰が行っても同じような標準化された検査技術により,臨床側の求める情報を,正確さをもって精度の保証を提供することが求められる.この目的を達成するには検者は泌尿器科の検査技術と臨床知識を豊富に身につけなければならない.
信頼度の高い泌尿器科検査を全国展開するには,ライセンスの取得もあるが,まず教育体制を整えることが必須である.これは,一個人レベルではなく組織が抱える問題である.教育の環境,技術の習得,求める・提供する検査内容など,質の高い超音波検査士を将来像にするには,医学会と検査学会の密な協力体制により専門医による教育技術展開を学会レベルで導入する新しい局面が必要と考える.
【まとめ】
検査士が超音波専門医に期待すること,技師だけでも教科書に書いてあることならわかる.でも,臨床を含めた泌尿器科の教育指導は専門医による展開を学会レベルで進めていただける新しい局面を求めたい.