Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 乳腺甲状腺
ワークショップ 乳腺甲状腺 FNAしなくてよい甲状腺結節とは?(JABTSとの共同企画)

(S350)

諸外国のガイドラインから見たFNA施行条件の相違点

Differences of guidelines for the management of thyroid nodules

中野 賢英, 福成 信博, 玉置 秀司, 相田 貞継

Masahide NAKANO, Nobuhiro FUKUNARI, Shuji TAMAKI, Sadatsugu AIDA

昭和大学横浜市北部病院外科系診療センター外科

Surgery, Showa University Northern Yokohama Hospital

キーワード :

甲状腺結節性病変に対する穿刺吸引細胞診の適応について,本邦では甲状腺結節取扱い診療ガイドライン2013(日本甲状腺学会,JTA)によりその基準が示されている.諸外国においてもそれぞれ基準が示されており,共通点も多いが異なる点も少なくない.代表的であるアメリカ甲状腺学会(ATA, 2009),ヨーロッパ甲状腺学会/アメリカ臨床内分泌医学会/イタリア内分泌学会(ETA/AACE/AME, 2010,以下ETA),韓国甲状腺放射線学会(KSTR, 2009)のガイドラインについて比較した.
ATAでは,5mm以上で悪性を疑わせる所見を呈する腫瘤に対する細胞診を推奨しており,5mm以下の腫瘤に関しては,悪性を疑わせる所見に加え異常な頸部リンパ節を認めた際のみ推奨している.ETA, KSTRでは,大きさにかかわらず悪性を疑わせる所見を呈するすべての腫瘤に対して細胞診を推奨している.ATAでは,10mm以上の腫瘤に対して内部性状によっては穿刺を推奨しており,spongiformのような良性を示唆する所見を呈する腫瘤においても20mm以上であれば推奨しているが,完全な嚢胞に対しては穿刺の適応としていない.ETAでは,大きさに関わらず悪性を疑わせる所見を呈さない腫瘤は経過観察を推奨し,機能性結節に対する細胞診は推奨していない.KSTRでは,悪性を疑わせる所見を呈さない10mm以下の腫瘤は経過観察を推奨し,10mm以上の場合は,その増大傾向などにより適宜細胞診を検討することとしている.各国のガイドラインに記載されているがJTAにはないものとして腫瘤の縦横比(>1)があり,エビデンスレベルも高いことから今後追加されることが期待される.
新たな知見の蓄積にともなうガイドライン内容の更新が各学会で検討されており,現在改訂の時期を迎えているATAガイドラインの内容も含めて,今後の動向が注目される.