Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 乳腺甲状腺
パネルディスカッション 乳腺甲状腺1 造影超音波が乳腺診療に何をもたらすのか?(JABTSとの共同企画)

(S341)

インターベンションにおける乳房造影超音波検査の有用性は?

Usefulness of contrast enhanced ultrasound guidance in needle biopsy

亀井 桂太郎1, 原田 徹1, 金岡 祐次1, 前田 敦行1, 今吉 由美2, 堀 優2

Keitaro KAMEI1, Tohru HARADA1, Yuji KANEOKA1, Atsuyuki MAEDA1, Yumi IMAYOSHI2, Yu HORI2

1大垣市民病院外科, 2大垣市民病院形態診断室

1Department of Surgery, Ogaki Municipal Hospital, 2Department of Clinical Research, Ogaki Municipal Hospital

キーワード :

【目的】
乳癌診療を行う際には,癌の診断および,手術術式決定のための広がり診断のためにもインターベンションが必要となる.しかし,近年は乳癌検診の普及,各種機器の進歩のために良悪の鑑別どころか,存在診断にすら苦慮するような病変が増加してきた.一方,2012年にソナゾイド®が乳房病変に対して適応拡大されたものの,その臨床的意義については定まっていない.我々は,存在診断が難しい病変をいかにして容易に確実に描出するか?良悪の鑑別を要する疾患に対してどのインターベンションを選択しどこに穿刺するか?というテーマに対して,造影超音波検査(CE-US)の有用性を模索してきた.当院のインターベンションにおけるCE-USの有用性を検討することにより,今後どのような症例にCE-USを行っていくかを提案したい.
【対象と方法】
対象は2012年12月から2014年12月までに当院でCE-USを施行した125例のうち,その後にインターベンションを行った61例.インターベンションの内訳は穿刺吸引細胞診検査(FNA)17例,Core needle biopsy(CNB)20例,吸引式組織生検(VAB)24例.CE-USの対象となった病変は,腫瘍径9.7mm(2〜38mm).MMGカテゴリーは,1 / 2 / 3 / 4 / 5が41 / 0 / 13 / 7 / 0例とほとんどの症例で異常を認めない.USカテゴリーは,1 / 2 / 3 / 4 / 5が0 / 10 / 40 / 11 / 0例で,腫瘤が46例,非腫瘤性病変が15例.MRI / CTで新規に発見された病変に対して2nd look US時にCE-USで確認した症例が35例あった.嚢胞内腫瘍の為に腫瘍径が大きい一部の症例を除き,ほとんどの症例は小腫瘤もしくは低エコー域で,存在診断すら困難な症例が中心である.病変の存在を認識し,理想的な穿刺部位をどれだけ確信を持って穿刺できるかを検討するために,最も確信度の高い4から確信度の低い1までスコア化してCE-USの有用性を検討した.さらに各インターベンションの感度,特異度,正診率を調べた.
【結果】
確信度はUS;3.03(1〜4),CE-US;3.52(0〜4)と有意に確信度を増した.CE-USでスコアが減少したものが3例あった.造影されないために(スコア0)としたが,すべて良性病変であった.小さな病変,周囲の組織と等エコーの病変では造影されることにより確信を持って穿刺することができた.各インターベンションの感度/特異度/正診率はそれぞれ,FNAが50%/ 0%/ 76.5%,CNBが100%/ 0%/ 100%,VABが100%/ 0%/ 100%であった.FNAで成績が劣るのは,乳癌の術前の広がり診断として乳管内進展部分もしくは小さな病変に対して行った症例が多く,異型度が少ないために鑑別困難となり癌と診断しきれなかったためと考えられる.
【結語】
MRI/CTで新規に発見された小病変や淡い造影域に対する2nd look US時,周囲の組織との濃度の差が少ない症例に対しては,CE-USは非常に有用な手技であると実感しており今後ますます普及するものと思われる.