Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 乳腺甲状腺
シンポジウム 乳腺甲状腺1 乳腺腫瘍の病理分類と超音波診断(JABTSとの共同企画)

(S328)

超音波計測上1cm以下の浸潤性乳管癌における癌の広がりの検討

Evaluation of disease extent in invasive breast cancer of less than 1 cm in diameter as assessed by sonography

坂本 尚美1, 角田 ゆう子1, 福間 英祐1, 星 和栄2

Naomi SAKAMOTO1, Yuko TSUNODA1, Eisuke FUKUMA1, Kazuei HOSHI2

1亀田総合病院乳腺科, 2亀田総合病院臨床病理科

1Breast Center, Kameda Medical Center, 2Department of Pathology, Kameda Medical Center

キーワード :

【目的】
乳癌検診の普及や診療機器の進歩に伴い,比較的早期で発見される乳癌が増加してきた.小腫瘤での発見は整容性の良い温存手術や,非切除の低侵襲治療につながる可能性がある.今回当院で手術を施行した症例のうち,超音波上1cm以下の単発腫瘤を形成した浸潤性乳管癌において,乳癌の広がりを検討した.
【対象と方法】
2013年1月から2014年5月までの間,手術を施行した超音波上1cm以下の単発腫瘤を形成した浸潤性乳管癌32症例において,超音波所見,MRI所見および病理所見を検討した.
【結果】
32例の超音波所見において,腫瘍径は0.5cm以下が3例(9.3%),0.6〜1cm以下が29例(91%)であった.境界は明瞭粗造が19例(59%),不明瞭が11例(34%),明瞭平滑が2例(6.3%),前方境界線は断裂が7例(22%),突出が9例(28%),正常が16例(50%),後方エコーは減弱が6例(19%),増強が0%,不変が26例(81%),縦横比が高いものが25例(78%),スピクラを認めるものが4例(13%)であった.組織形態は硬癌が24例,乳頭腺管癌が4例,充実腺管癌が4例であった.広がりの検討では,病理学的にも限局性の腫瘤であったものは9例(28%)であった.その他の症例では腫瘤周囲に乳管内病変を認めたが,病変範囲が腫瘤の中心から2cm未満にとどまっていたものは15例(47%)で,残りの8例(25%)では腫瘤の中心から2cmをこえる乳管内病変の広がりを認めた.2cmをこえる乳管内病変の広がりを認めた症例の組織形態は,硬癌が21%(5/24),充実腺管癌が25%(1/4),乳頭腺管癌が50%(2/4)であったが,各組織型間で有意差は認めなかった.2cmをこえる乳管内病変の広がりを認めた8例において,6例(75%)ではMRIで腫瘤周囲の造影所見により管内進展が予測できたが,あとの2例(25%)ではMRIでも予測ができなかった.広がりがMRIで検出できたものと,検出できなかったものの間に,組織形態の差はなかった.
【結論】
今回の検討からは腫瘤の中心から2cmをこえる広がりを認めた症例と,それ以下の広がりの症例の間に組織形態では差はなく,超音波で1cm以下の単発腫瘤を形成した浸潤性乳管癌の局所療法を決める上では,組織形態は考慮に入れる必要はないと考えられた.