赤松 信雄¹, 水谷 靖司², 小高 晃嗣², 中山 朋子², 西田 友美²

Nobuo AKAMATSU¹, Yasishi MIZUTANI², Koji ODAKA², Tomoko NAKAMYAMA², Tomomi NISHIDA²

¹伯鳳会産科婦人科小国病院, ²姫路赤十字病院

¹Hakuhokai Obstetrics and Gynecology Oguni Hospital, ²Japan Red Cross Society Himeji Hospital

キーワード :

IOTA（ten simple rules）分類では，良性，悪性，2タイプの分類不能に判別するようになっている．後方視的に超音波所見を確認して，4域（悪性域，良性域，分類不能1域（両域所見あり），分類不能2域（両域所見なし）にIOTA分類（Ultrasound Obstet Gynecol 2008，31:689のTable 9）した．摘出物は組織学的に類腫瘍病変・良性群，境界悪性群29，悪性群85の3群に分類した．
組織診断によると，良性群（+類腫瘍病変）93例57％，境界群29例11％，悪性群85例32％であった．IOTA分類では，良性域＞悪性域＞分類不能2域＞分類不能1域の順に多かった．分類不能が，15％あったが，判別できた際の精度は，悪性群100％，境界悪性群74％，良性群92％を示した．
さらに卵巣嚢胞性腫瘤と嚢胞部分優位の混合パターン腫瘤の長径10cmの関与をみた．良性指標B4境界平滑な多房性嚢胞性パターンは，長径10cm未満でなければならない．また，悪性指標M4嚢胞部分優位だが，内部に劣勢な充実部分を有する混合パターンは，長径10cm以上でなければならない．嚢胞性パターンにおける単房性・多房性と長径10cmの関与を検討した．
B1単房嚢胞性パターンで10cm以上は，Ⅰ型全て良性群の6％，Ⅱ型良性群27例の22％，境界群4例の50％，Ⅲ型良性群6例の17％，Ⅳ型良性群3例，境界群2例では0％に認めた．B1は大きさに関係なく，良性指標としては良好であるが，境界悪性もみられる．
B4相当の境界平滑な多房性嚢胞性パターンで10cm以上は，Ⅱ型良性群3例の33％にのみ認めた．B4は良性群のみに認めて，良性指標としては大変良好であるが，10cm未満の真のB4は出現率が2％と低い．
M4嚢胞部分優位だが，内部に劣勢な充実部分を有する混合パターンで10cm以上は，Ⅳ型良性郡6例の100％，境界群9例の100％，悪性群22例の95％，Ⅴ型境界群2例と悪性群3例の100％，Ⅵ型悪性群1例の100％に認めた．M4は10cm未満では選択されないが，境界悪性群と悪性群のみに認めて，悪性指標としては大変良好で，出現率も32％あった．