Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 産婦人科
パネルディスカッション 産婦人科1 妊娠初期胎児スクリーニングのあり方

(S313)

一般施設と胎児診断専門施設の妊娠初期スクリーニングのあり方の違い

First Trimester Screening in Primary Institutes and Fetal Diagnostic Institutes

夫 律子

Ritsuko POOH

クリフム夫律子マタニティクリニック臨床胎児医学研究所胎児診断部門

Fetal Diagnosis Unit, CRIFM Clinical Research Institute of Fetal Medicine PMC

キーワード :

【目的】
妊娠初期スクリーニングは本邦では明確なプロトコールがないまま各施設が随時行っているのが現状である.当院は胎児診断専門施設として妊娠初期スクリーニングを行っている.今回は当院でのスクリーニングを紹介し,一般施設におけるスクリーニングとのあり方について検討を加えることを目的とした.
【対象】
2013年1月より2014年11月までの23ヶ月間で初期スクリーニングを目的として受診した妊娠11-13週で受診した6708症例を対象とした.
【方法】
胎児計測はBPD, AC, FL, HL, CRL, NT, NBについて行い,図1に示すすべての項目(ITについては2014年8月から追加項目とした)を全例に行った.スクリーニングは遺伝学的スクリーニングおよび形態学的スクリーニング検査を同時に行った.検査に用いた機器はGE Healthcare社製Voluson E8/E10で経腹3Dおよび経腟3Dプローブにより行った.スクリーニング結果は画像保存および画像データベース入力し,一項目でも確認できない場合には時間をおいて最終全項目が終了するまでスキャンを繰り返した.すべてのデータを入力し,Fetal Medicine Foundationの染色体数的異常評価ソフトで21, 18, 13トリソミーのリスク計算を行った.
【結果】
形態学的異常があるも染色体異常の疑いは低い例,形態学的異常を伴った染色体異常が疑われた例,形態学的異常が明確でなく染色体異常が疑われたものなどがスクリーニング結果として浮上した.カウンセリングを行った上,スクリーニング陽性例の多くが絨毛検査を受検し染色体核型が判明した.
【結論】
徹底的な初期スクリーニングを行うことで多くの先天性異常が判明することがわかったが,一般施設においてこのような詳細スクリーニング検査をすることは不可能である.当院で施行しているスクリーニング項目の内,一般施設で最低限確認すべきことが何か,初期スクリーニングで見落としたくない疾患が何かを考慮して一般施設における初期スクリーニング項目のプロトコールを決めて行かなければならないだろう.