Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 産婦人科
パネルディスカッション 産婦人科1 妊娠初期胎児スクリーニングのあり方

(S313)

妊娠初期の胎児形態評価と超音波マーカーの位置づけに関する検討

Study for the positioning between fetal morphological evaluation and ultrasonographic marker of chromosomal abnormality in first trimester

濱田 尚子, 仲村 将光, 長谷川 潤一, 瀧田 寛子, 新垣 達也, 徳中 真由美, 大場 智洋, 松岡 隆, 関沢 明彦

Shoko HAMADA, Masamitsu NAKAMURA, Junichi HASEGAWA, Hiroko TAKITA, Tatsuya ARAKAKI, Mayumi TOKUNAKA, Tomohiro OOBA, Ryu MATSUOKA, Akihiko SEKIZAWA

昭和大学産婦人科

Obstetrics and Gynecology, Showa University

キーワード :

【目的】
当院では,妊娠11-13週に妊娠精密超音波検査(基本検査)を胎児形態異常の検出を目的として行っており,オプションとして超音波マーカーによる胎児染色体異常のリスク評価を行っている(初期マーカー検査).今回,当院で行っている妊娠初期の基本検査と初期マーカー検査,および染色体異常検出のための侵襲検査の位置づけを検証し,それらの問題点を抽出することを目的に本研究を行った.
【方法】
2011年2月〜2014年6月までに当院で妊娠初期精密超音波検査を施行し,当院で分娩した症例を対象にした.対象全体および初期マーカー検査希望群の症例数,検出された形態異常,侵襲検査施行,分娩前に診断できた染色体異常,および分娩後に確認できた胎児異常の頻度を比較した.本研究は,当院倫理委員会の承認を得ており,開示すべき利益相反状態はない.
【結果】
対象は3523例で,その全例に基本検査を施行した.そのうち,初期マーカー検査群は,327例(9.3%)であった.対象中,侵襲検査を施行した症例は176例(4.9%)あり,そのうち,初期マーカー検査群における侵襲検査は15例(0.4%)に行われていた.分娩前に診断できた染色体異常は38例(1.0%),そのうち,初期マーカー検査群で4例(0.1%)であった.分娩後に確認できた胎児異常は,26例(0.7%)で,そのうち,初期マーカー検査群では0例(0.0%)であった.
分娩前に胎児形態異常をしてきできたのは42例で,その内訳は,胎児浮腫・胎児水腫27例,心奇形8例,四肢異常3例,無頭蓋1例,頭位変形1例,単一臍帯動脈2例あった.そのうち,カウンセリング後に32例が侵襲検査を行い,18例(56.3%)が染色体異常の診断であった.妊娠初期の精密超音波検査で形態異常を認めず,分娩後に確認できた胎児異常は26例(0.7%)で,21トリソミー2例,骨系統疾患,VSD,口唇口蓋裂,停留精巣,重複尿管,鎖肛,副耳,多指などであった.
初期マーカー検査希望群で,侵襲検査施行症例は10例であり,その内訳は,21トリソミー1例,18トリソミー3例,正常核型6例で,初期マーカー検査群の12.2%に染色体異常を認めた.
妊娠初期の超音波検査で胎児異常が見つかった症例の陽性的中率と陰性的中率は,基本検査施行群で92.5%,97.9%であり,初期マーカー検査希望群で58.3%,96.3%であった.
【結論】
妊娠初期の精密超音波検査で,形態評価を十分に行うことができることが示唆された.しかし,染色体異常は超音波検査によって診断することはできないことが本研究で改めて確認され,出生前遺伝学的検査についてカウンセリングを行う際は,そのことに注意が必要であると考えられた.