Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 産婦人科
パネルディスカッション 産婦人科1 妊娠初期胎児スクリーニングのあり方

(S312)

Fetal Medicine Foundation方式による妊娠初期胎児スクリーニングの当院における現況

First Trimester Screening in Our Clinic by Using the Program of the Fetal Medicine Foundation

中村 靖1, 宋 美玄1, 紀平 力1, 2, 千葉 淑恵1, 新川 裕美1, 田村 智英子1

Yasushi NAKAMURA1, Mihyon SONG1, Chikara KIHIRA1, 2, Yoshie CHIBA1, Hiromi ARAKAWA1, Chieko TAMURA1

1胎児クリニック東京, 2榊原記念病院産婦人科

1Fetal Medicine Clinic Tokyo, 2Obstetrics, Sakakibara Memorial Hospital

キーワード :

【目的】
Fetal Medicine Foundation(以下FMF)の方法に基づいた妊娠初期胎児検査の当院における成績について検討し,判断基準や有用性についての評価を行う.
【方法】
2013年9月から2014年8月までの間に当院を受診し,FMFの方法に基づいた妊娠初期胎児検査を受けた1250人について,その検査成績と,それにつづく確定的検査(絨毛採取・羊水穿刺)の選択およびその結果,妊娠転帰について,後方視的に検討した.検査内容は,胎児超音波検査(後頸部透亮像,鼻骨,三尖弁閉鎖不全,静脈管血流pulsatility index)および母体血清マーカー検査(freeβ-hCG, PAPP-A)をおこない,母体の年齢に応じた染色体異常発生頻度に,上記検査から導き出されるlikelihood ratioを掛け合わせて確率値を算出するものである.なお,当院における検査はすべて,十分な時間をかけた遺伝カウンセリングの過程を経て,インフォームドコンセントを取得したのちに行っている.
【成績】
21トリソミー,18トリソミー,13トリソミーに対する確率値のカットオフ値をそれぞれ,1:100,1:50,1:50に設定したところ侵襲的検査は羊水検査61例,絨毛検査41例の合計102例で,35歳以上の986人に比較して少人数であった.この条件における染色体異常の陽性一致率は31.1%と必ずしも高くはなかったが,これよりも低確率と判断されながらも確定的検査を希望した者のうちで,染色体異常と診断されたものは一例もなかった.また,妊娠の転帰が判明している全てのケースにおいて,陰性一致率は100%であった.また,上記3種以外の染色体異常が7例,染色体正常ではあるが,奇形や合併症を有するケースが6例発見された.
【結論】
本検査は,高齢妊娠において,侵襲的検査の選択を減少させることに寄与すると同時に,染色体異常が疑われたり,形態異常が存在するケースにおいてはより早い確定診断に結びつき,妊婦および家族が検討するための時間の延長につながる.