Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 産婦人科
シンポジウム 産婦人科1 経会陰超音波検査は産婦人科の必須の検査法になりうるか

(S306)

分娩第2期における経会陰超音波検査を用いた児の娩出時間の予測

Prediction of delivery time in the second stage of labor using transperineal ultrasonography

米谷 直人

Naoto YONETANI

大阪府立母子保健総合医療センター産科

Department of Maternal Fetal Medicine, Osaka Medical Center and Research Institute for Maternal and Child Health

キーワード :

【緒言】
近年,経会陰超音波検査によって分娩の進行を客観的に評価し,分娩転帰を予測しようとする試みがなされている.特に児頭下降を評価するパラメータとしてAngle of Progression(AoP,母体糸状断面における恥骨長軸と恥骨下端から児頭先端への接線との角度),児頭回旋を評価するパラメータとしてmidline angle(MLA,母体横断面における恥骨長軸との垂線と児頭糸状縫合に一致する中央線との角度)の有用性が報告されている.当センターでは,2013年10月から分娩時の経会陰超音波検査を導入している.本研究の目的は,分娩第2期における経会陰超音波検査所見による児娩出までの所要時間の予測の可能性について検討することである.
【対象と方法】
単施設後方視的コホート研究として行った.2013年10月からの1年間に,当センターにおいて,頭位,単胎の正期産経腟分娩中に内診で子宮口全開と判断された直後に経会陰超音波検査を施行した症例を対象とした.分娩第2期に当院へ母体搬送となった症例は除外した.経会陰超音波検査はVoluson S8®(GE Healthcare)を用いて3D volume dataを保存した.後に解析ソフトSono VCAD labor®(GE Healthcare)を用いてAoP,MLAを算出した.分娩第2期の分娩管理としては,原則的に子宮口全開大後2時間の時点で分娩の進行を評価し,微弱陣痛による分娩遷延にはオキシトシン投与による陣痛促進を行った.胎児機能不全と診断された場合は急速遂娩の方針とし,医師の判断により器械分娩もしくは緊急帝王切開が選択された.AoP,MLAの各々において,経会陰超音波検査後120分以内の児娩出に対するオッズ比を,多重ロジスティック回帰分析を用いて算出した.多変量解析では分娩時年齢,分娩時BMI,初産経産,陣痛誘発または第1期陣痛促進の有無,無痛分娩の有無の各項目を調整因子として解析した.さらにROC曲線から各々の最適なカットオフ値を算出し,カットオフ値における検査の信頼度を検討した.統計解析にはJMP software version11(SAS Institute Inc. USA)を使用した.
【結果】
対象564症例のうち,1例を除外した563症例で解析した.背景として,分娩時年齢の中央値は32(16-46)歳,分娩時BMIの中央値は24.4(15.9-53.9),69.3%が初産であった.陣痛誘発または第1期陣痛促進は35.2%,硬膜外無痛分娩は8.2%であった.経会陰超音波検査から児娩出までの所要時間の中央値は46(0-407)分であった.第2期陣痛促進は5.2%,器械分娩,緊急帝王切開は各々13.3%,1.6%であった.多重ロジスティック解析の結果,120分以内の児娩出に対して,AoP(Adjusted OR: 1.44,95%CI: 1.27-1.66,P<0.01),MLA(Adjusted OR: 0.89,95%CI: 0.81-0.99,P=0.03)の10°毎の増加はともに有意な関連を認めた.さらに,器械分娩または緊急帝王切開となった症例を除いた解析でも同様の関連を認めた.ROC曲線から算出した120分以内の児娩出の予測に最適なカットオフ値はAoPが160°(AUC:0.67,陽性適中率:94.1%,陰性適中率:21.6%),MLAが20°(AUC:0.61,陽性適中率:90.7%,陰性適中率:21.5%)であった.
【結論】
分娩第2期におけるAoPとMLAはともに,その後の分娩時間との有意な関連を認め,分娩第2期の経会陰超音波検査は児娩出までの時間を予測する上で有用である可能性が示された.今後は,分娩遷延などの介入を考慮する状況下での本検査の有用性に関する研究が望まれる.