Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 消化器
ワークショップ 消化器4 肝臓の硬さ診断:その精度と使途

(S298)

フィブロスキャンによる肝臓の硬さ診断

Liver Stiffness Measurement by Fibroscan

斎藤 聡

Satoshi SAITOH

虎の門病院肝臓センター

Department of Hepatology, Toranomon Hospital

キーワード :

フィブロスキャンは,全世界で使用され,WHOのガイドラインでは,肝生検が施行できない場合にフィブロスキャンが推奨されている.我が国でも平成23年10月に保険収載され,多くの施設で使用されている.ただし,いくつかのLimitationがあり,たとえばB Modeが搭載されていないので,どこを測定しているかわからないとか,肥満患者が測定できないとか,肝硬度は線維化以外のファクターの影響を受けているとの指摘されてきた.
肥満者に対しては,是永圭子氏によると,XLプローブを使用することにより解決したと考える.肝硬度に影響を与える他の要因である,炎症・うっ血・胆汁うっ滞・アミロイド沈着の場合は高値を示すのが,この限界を熟知して使用する必要がある.藤川博敏氏によると,種々の非侵襲的的マーカーと組み合せることで診断精度の向上を期待できると考える.一方,これらの線維化以外の要因が肝硬度を高めるという点が注目され,循環器内科からも右心房圧や中心静脈圧とフィブロスキャンの測定値が顕著に相関する報告がなされている.松本直樹氏によると胆道ドレナージの治療効果があるとうっ滞した胆汁が排出されると肝硬度が低下するとされる.伝法秀幸氏によると各種慢性肝疾患における肝硬度のCut-off値による食道静脈瘤合併の可能性の確認は,肝硬度測定の臨床的な有用性を示唆している.
いまや,“Stiffness tells more than fibrosis”と言われている.