Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 消化器
ワークショップ 消化器3 腹部悪性腫瘍の早期診断の限界と見逃してはいけない所見

(S295)

Stage 1膵癌診断における超音波検査の役割

Role of US for diagnosis of pancreatic carcinoma at Stage 1

北野 雅之, 宮田 剛, 工藤 正俊

Masayuki KITANO, Takeshi MIYATA, Masatoshi KUDO

近畿大学医学部消化器内科

Department of Gastroenterology and Hepatology, Kinki University Faculty of Medicine

キーワード :

【背景・目的】
膵臓癌は,消化器癌の中でも最も予後不良の悪性腫瘍であり,進行が速く早期診断が非常に難しい.体外式超音波検査(US)での間接所見は,膵癌の早期診断の発見契機となる可能性があり,膵癌診療ガイドラインでも膵癌のスクリーニングには重要な位置づけとなっている.WSポスターにおいて金森らは「超音波検査の間接所見に着目した膵癌診断の検討」を報告した.そこで,Stage 1膵癌の超音波検査所見の特徴について,金森らの報告と当施設での成績を合わせて報告する.
【対象・方法】
大垣市民病院(O)および近畿大学医学部(K)の両施設において診断されたStage 1膵癌の発見契機,各画像診断の検出感度,USの直接および間接所見の陽性率を検討した.
【成績】
両施設においてStage 1膵癌は合計で43例(O: 25例,K: 18例)であった.そのうち,診断契機が他疾患診療中にUSの異常所見を認めたものが,全体の44%(O: 52%,K: 33%)であった.US:CT:EUSの腫瘍検出感度は,それぞれ49%:56%:88%(O, 65%:70%:95%,K, 28%:33%:78%)であった.USにおいて主膵管拡張および嚢胞が,それぞれ72%(O: 88%,K: 50%)および30%(O: 32%,K: 28%)に見られた.USが腫瘍発見の6ヶ月以前に施行されていたものが51%(O: 48%,K: 56%)に認められた.
【結語】
USの間接所見は,膵癌早期診断(Stage 1)に重要な役割を担っている.USによる腫瘍の検出感度は他の画像診断と比較して,高値ではないため,主膵管拡張あるいは嚢胞が認められた場合には,CT,EUS等の精査,および厳重な経過観察が勧められる.