Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 消化器
パネルディスカッション 消化器1 超音波による放射線治療・化学療法の効果判定

(S276)

ソナゾイド®造影超音波検査を用いた悪性リンパ腫の化学療法早期効果判定

Malignant Lymphoma; Early evaluation of response to therapeutic agents using Dynamic Contrast Enhanced-Ultrasound

林田 まり子1, 松本 直樹1, 小川 眞広1, 三浦 隆生1, 塩澤 克彦1, 阿部 真久1, 中河原 浩史1, 森山 光彦1, 三浦 勝浩2, 武井 正美2

Mariko HAYASHIDA1, Naoki MATSUMOTO1, Masahiro OGAWA1, Takao MIURA1, Katsuhiko SHIOZAWA1, Masahisa ABE1, Hiroshi NAKAGAWARA1, Mitsuhiko MORIYAMA1, Katsuhiro MIURA2, Masami TAKEI2

1日本大学医学部消化器肝臓内科, 2日本大学医学部血液・膠原病内科

1Department of Gastroenterology, Nihon Univercity School of Medicine, 2Department of Hematology and Rheumatology, Nihon Univercity School of Medicine

キーワード :

【目的】
悪性リンパ腫の治療効果判定においては,化学療法開始から1ヶ月以降に造影CTを用いて評価するのが一般的となっている.多くの場合,腫大したリンパ節は化学療法後,1ヵ月を待たずに早期に縮小するが,1ヶ月後に不変とされた症例でも,長期の経過で部分または完全寛解となるものも少なくない.今回,ソナゾイド®造影超音波を用いて治療早期のリンパ節の変化を評価し造影CTによる効果判定や長期の治療経過と比較し,その有用性を検討した.
【方法】
対象は当院血液・膠原病内科にて化学療法を施行した悪性リンパ腫11例で,再発を含めて評価は12回である.その内訳は,男性6例,女性5例であり,疾患はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)8例,Hodgkinリンパ腫2例,濾胞性リンパ腫1例であった.DLBCLに対してはR-CHOP療法(リツキシマブ,シクロホスファミド,ドキソルビシン,プレドニゾロン)を,Hodgkinリンパ腫に対してはABVD療法(アドリアマイシン,ブレオマイシン,ビンブラスチン,ダカルバジン)を,濾胞性リンパ腫にはCHOP療法を施行した.本研究は前向き試験であり,ソナゾイド®造影超音波については同施設の臨床研究審査委員会承認のもと,被験者からのInformed consentを得たうえでAplio MX(東芝メディカルシステムズ)を用いて観察した.探触子はコンベックスプローブPVT-375BTを使用した.観察は化学療法施行前と施行後3,8,15日目に行い,対象病変は体表・腹腔内の同一のリンパ節または節外病変とした.撮影条件は同一症例では同一とし,可能な限り同一断面でfocusは病変の下端,MI値は0.20前後とした.15日目までの超音波像の変化で治療効果判定を行い,造影CTの結果と比較した.造影CTはHodgkinリンパ腫では6か月後に,DLBCL,濾胞性リンパ腫では1か月後に施行した.治療効果判定は,造影CTにおいては本来の悪性リンパ腫の治療効果判定基準を用い,超音波においてはRECISTガイドラインを用いて行った.また,ソナゾイド®超音波では,観察対象とした標的病変の血流の経時的変化も観察した.
【成績】
造影CTでは完全寛解(CR)/部分寛解(PR)/病態安定(SD)/病勢進行(PD)が1/8/2/1,超音波Bモードでは1/6/4/0であった.1例は治療により胃壁の病変部位が不明瞭となってしまい超音波での評価が不能であった.8例ではBモードでの効果判定と造影CTのそれが一致した.1例は標的病変のリンパ節が消失したためにBモードでCRと過大評価された.2例ではBモードの判定が造影CTのそれと比べ過小評価された.しかし,BモードでSDと評価された5例では,ソナゾイド®造影超音波で血流が経時的に低下した2例はその後CRを維持しており,血流の増加が認められた1例は増悪し,死亡した.血流不変だった2例は,1例がPR,1例が化学療法継続中である.
【結論】
ソナゾイド®造影超音波検査は,悪性リンパ腫の化学療法の効果判定に有用である可能性が示唆された.