Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 消化器
シンポジウム 消化器2 もう一度考える,組織所見から見た超音波画像

(S266)

外側高エコー層の吊り上げ肥厚を伴う胆嚢腫瘤は初期SS胆嚢癌を示す

Polypoid gallbladder tumors with a thickened outermost hyperechoic layer suggest shallow pT2 carcinoma

藤本 武利1, 加藤 洋2

Taketoshi FUJIMOTO1, Yo KATO2

1平塚胃腸病院外科, 2獨協医科大学日光医療センター病理部

1Department of Surgery, Hiratsuka Gastroenterological Hospital, 2Department of Pathology, Nikko Medical Center, Dokkyo Medical University

キーワード :

【目的】
進行胆嚢癌の多くは拡大手術を行っても予後不良だが,2mm以下の漿膜下層浸潤(SS)に留まるSS胆嚢癌は予後良好と報告されている(Wakai Tら,2003年).これを初期SS胆嚢癌とした時,乳頭浸潤型を示す初期SS胆嚢癌の超音波像を明らかにする.
【対象と方法】
1988年〜2014年までの27年間に平塚胃腸病院で腹部超音波検査(US)を行ったSS胆嚢癌切除例のうち,乳頭浸潤型の初期SS胆嚢癌6例を対象として,超音波像・病理を対比検討した.
【結果と考察】
外側高エコー層は漿膜下深部脂肪層+漿膜に相当する.病巣表層部が高エコーで深部が低エコーを示す所見(病巣深部低エコー)は,病理組織学的に表層部が乳頭腺癌で深部に豊富な線維化とリンパ球浸潤を伴う癌巣を示し,6例のすべてに認められた.外側高エコー層の性状に関しては,吊り上げ肥厚4例,著変なし2例であった.著変なしの1例で辺縁の一部に微小な深部低エコーを認めた.これより乳頭浸潤型胆嚢癌の垂直進展様式をシェーマにまとめると図のようになる.点線は固有筋層の位置を示す.癌浸潤が深くなるにしたがい外側高エコー層が一旦内腔側に吊り上げられて肥厚するが,さらに癌巣が拡大すると病巣深部低エコーが増大し,外側高エコー層が次第に菲薄化していくと考える.ただし,多くの部分でAを示すが,一部でDの要素を示すものもある.
【結論】
乳頭浸潤型を示す初期SS胆嚢癌の超音波像は2つあり,外側高エコー層の吊り上げ肥厚と菲薄化である.前者は癌浸潤が深くなるにつれて外側高エコー層が一旦内腔側に吊り上げられて肥厚を示し,その後,病巣深部低エコーの増大により菲薄化していくものと考える.一方,後者は従来指摘されているものであり,最初から外側高エコー層の不整・菲薄化を示す.