Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 消化器
シンポジウム 消化器1 Critical pointを決定する超音波のサイン

(S262)

腎部分切除術における術中超音波の有用性

Intraoperative ultrasound in dissection during partial nephrectomy

本郷 文弥, 鴨井 和実, 沖原 宏治, 三木 恒治

Fumiya HONGO, Kazumi KAMOI, Koji OKIHARA, Tsuneharu MIKI

京都府立医科大学泌尿器外科

Urology, Kyoto Prefectural University of Medicine

キーワード :

【背景】
腎癌の診断,特にスクリーニングにおいて,超音波診断の有用性は広く認められている.腹部超音波検査の普及により,偶然に発見される腎癌の頻度が上昇した.健康診断における腹部超音波検査により発見されるこれら偶発腎癌は一般的にearly stageであり,根治療法により長期の生存が期待できる.またこのように健診等で発見されることの多い小径腎癌については近年では腎機能温存の重要性により,腎部分切除術が選択されるようになってきた.各国ガイドラインにおいても可能な症例に対しては腎部分切除術が推奨されている.さらに治療の低侵襲のために腹腔鏡下での腎部分切除も限られた施設ではあるが行われるようになってきた.しかし,腹腔鏡下腎部分切除術(LPN)は限られた阻血時間で,腹腔鏡下での切除,止血および縫合などを素早く行う必要があり,難度の高い術式である.
また,本邦においては保険未収載であるが,ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除(RPN)も試みられるようになった.
【腎部分切除術】
当院では2000年2月に腎腫瘍に対するLPNを開始し,2014年12月までに190例に対して施行した.また,2014年3月からRPNを導入し,これまでに10例に対して施行した.到達法は腫瘍の局在により経腹膜あるいは後腹膜到達法を選択した.腹腔用超音波にて腫瘍のマージンを確認し,凝固でマーキングを行う(図 RPNにおける術中US).腎動脈あるいは腎動静脈阻血後に腫瘍2mm以上のマージンを確保したうえで,鋏鉗子で切除する.尿路の開放を認めた場合は開放部の修復を行い,腎実質の縫合後に阻血を解除する.今回はこれらの術中の超音波走査の実際について提示したい.
一方,種々の理由により腹腔鏡下での手術が困難であると考えられる場合には開腹腎部分切除を選択している.そこで,同時期に行われた開腹腎部分切除術における術中超音波についてもその所見を示す.
【結語】
腎部分切除術においては腫瘍の辺縁を正確にイメージするために,開腹,腹腔鏡を問わず術中超音波は欠かせないと考えられる.さらに内視鏡や鉗子の動きが制限される腹腔鏡下腎部分手術においては,正確な切除ラインをいかにイメージし,切除するかはさらに重要であり,そのためには超音波にて腫瘍の辺縁を確認し,マーキングすることが大変有用であると考えられる.