英文誌(2004-)
特別プログラム 循環器
ワークショップ 循環器1 low-flow low gradient ASを極める
(S251)
我が国のLFLPG/ASの実態:JUST-R研究より
Low-flow low-gradient AS in Japan:From the Results of JUST-R Registry
山下 英治
Eiji YAMASHITA
群馬県立心臓血管センター循環器内科
Department of Cardiology, Gunma Prefectural Cardiovascular Center
キーワード :
LFLPG-SAS(low-flow low pressure gradient severe AS)とは,大動脈弁口面積が狭小で重症ASであるにも関わらず,一回心拍出量が低下しており大動脈弁通過血流が減少するため,大動脈弁口で発生する圧較差が低下する病態である.特に左室収縮能が保たれる場合(Paradoxical LFLPG-AS)その予後並びに治療方針の決定についてはcontroversialである.今回本邦におけるLFLPG-ASの臨床的特徴並びに予後を検討する多施設後ろ向き研究(Japanese Multicenter Aortic Stenosis Study, Retrospective(JUST-R)Registry)を実施した.4施設から登録されたAS症例663例のうち中等症以上のASが385例であった.それらをmoderate AS / paradoxical LPG- AS / high-gradient ASの3群に群分けした.更にparadoxical LPG-AS症例からparadoxical LFLPG-AS症例(一回心拍出量係数<35ml/m2)を抽出して各群間の予後を比較した.その結果paradoxical LPG- ASおよびLFLPG-ASの予後はhigh-gradient ASに比べ良好でmoderate ASに近いものであった.今回のJUST-R registryで示されたparadoxical LFLPG-ASの予後はこれまでの欧米からの報告とは異なり良好であることから,LFPLG-ASに対する治療方針の決定において,マルチモダリティーを用いた更なるリスク層別化が必要である可能性が示唆された.