Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 循環器
ワークショップ 循環器1 low-flow low gradient ASを極める

(S251)

ストレインによる心機能評価の有用性

Strain for LV function analysis in paradoxical AS

瀬尾 由広, 佐藤 希美, 山本 昌良, 町野 智子, 石津 智子, 青沼 和隆

Yoshihiro SEO, Kimi SATO, Masayoshi YAMAMOTO, Tomoko MACHINO-OHTSUKA, Tomoko ISHIZU, Kazutaka AONUMA

筑波大学医学医療系循環器内科

Cardiovascular Division, University of Tsukuba

キーワード :

奇異性低流量低圧較差重症大動脈弁狭窄症(Paradoxical AS)には複数の病態が混在している可能性がある.その中で予後不良な病態を検出し,予後評価に繋がる検査法の確立が期待される.スペックルトラッキング法(STE)によるlongitudinal strain(LS)は心疾患の予後予測に有用であるというエビデンスが蓄積されてきている.そこで我々はParadoxical AS症例のLSを評価し,予後との関連を検討した.
左室駆出率50%以上かつ重症大動脈弁狭窄症(AVA index<0.6cm2/m2)を満たす症例の中で,左室一回拍出量係数<35ml/m2,大動脈弁平均圧較差<40mmHgを満たす116例をParadoxical ASと診断し研究対象とした.左室のglobal LS(GLS)は心事故(心臓死,大動脈弁置換術,心血管イベント)の発生群で有意に低下し(-15±4 vs. -19±4%;p<0.0001),Cox回帰では唯一イベント発生に関して有意な指標であった.ROC解析によりGLS>-17%をカットオフ値とすると,GLS低下群はGLS高値群と比較して2年間の無イベント生存率の有意な低下を認めた(53%vs. 94%;p<0.0001).GLS低下群ではよりAVAiが小さく,左室肥大の進行を認めた.以上の結果から,Paradoxical AS症例には多様な病態があり,GLSが低下する群では求心性肥大が進行した病態であることが示唆された.
従って,かかる病態においてGLSを評価することが病態および予後層別化の一助となる可能性がある.