Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 循環器
ワークショップ 循環器1 low-flow low gradient ASを極める

(S250)

大動脈弁狭窄症患者の拡張機能:透析患者を対象とした検討と考察

Impact of Aortic Stenosis on Left ventricular function in Patients receiving Chronic Hemodialysis

土肥 薫1, 松尾 浩司2, 杉浦 英美喜1, 伊藤 正明2

Kaoru DOHI1, Hiroshi MATSUO2, Emiyo SUGIURA1, Masaaki ITO2

1三重大学医学部附属病院循環器内科, 2三重大学大学医院循環器・腎臓内科学

1Department of Cardiology, Mie University Hospital, 2Department of Cardiology and Nephrology, Mie University Graduate School of Medicine

キーワード :

透析患者では,一般的に石灰化を伴う大動脈硬化を有する頻度が高く,さらに重症大動脈弁狭窄症(AS)に進展した場合,非透析患者に較べ病態の進行が急速であると報告されている.しかし,本邦の透析患者における大動脈弁狭窄症の発症頻度および重症度や,拡張能を中心とした心機能との関連について,未だ詳細に検討されていない.我々は,透析歴1年以上の維持透析患者100名(67±10歳,男性53%)を対象に,心臓超音波検査を施行し,大動脈弁狭窄症の頻度,程度,および心機能との関連を検討した.また,比較対象として,非透析患者120名における大動脈弁狭窄症と心機能の関連も検討した.維持透析患者100名では,大動脈弁口面積(AVA)2.0cm2未満のASは,44名(44%)に認められ,内訳は,軽症(1.5<AVA<2.0cm2)23名,中等症(1.0<AVA<1.5cm2)16名,重症症(AVA<1.0cm2)5名であった.全100名の患者でGrade 1以上の拡張能異常が認められ,左室リモデリングも高率に認められた.また,AS患者は,非AS患者に較べ,高齢(70±10 vs. 65±10歳)で心房細動合併率が高かったが,透析期間には差は認められなかった.AS患者では,血中BNP値およびANP値は非AS患者に較べ高値であった.AS患者は,非AS患者に較べ,大動脈弁および僧帽弁輪石灰化の割合が高く,狭窄症進行との関連が示唆されたが,大動脈弁最大血流速度は,軽症患者で1.9±0.5 m/s,中等症患者で2.0±0.7 m/s,重症患者で2.6±0.9 m/sと,全体にlow flowであった.一方,AS患者は,非AS患者に較べ,中隔および側壁におけるE/E’が有意に高値であり,拡張能に対する悪影響が示唆された.一方,非透析患者120名における同様の検討では,ASは34%に認められ,AS患者と非AS患者にE/E’の明らかな差は認められなかった.これらの結果から,維持透析患者では,ASの頻度は高いが,全体にlow-flow ASであること,一方で非透析患者に較べ,ASの存在が拡張能低下および心房負荷に対し,より大きな悪影響を及ぼしている可能性があると考えられる.これらの結果を踏まえ,若干の考察を加えて発表したい.