瀬尾 由広¹, 渥美 安紀子¹, 町野 智子¹, 山本 昌良¹, 石津 智子¹, 青沼 和隆¹, 阿部 康彦²

Yoshihiro SEO¹, Akiko ATSUMI¹, Tomoko MACHINO-OHTSUKA¹, Masayoshi YAMAMOTO¹, Tomoko ISHIZU¹, Kazutaka AONUMA¹, Yasuhiko ABE²

¹筑波大学医学医療系循環器内科, ²東芝メディカルシステムズ株式会社超音波開発部

¹Cardiovascular Division, University of Tsukuba, ²Ultrasound Systems Division, Toshiba Medical Systems Corporation

キーワード :

【背景】
三次元（3D）画像は正確に右心室（RV）の構造および機能を評価できる可能性を有する．我々は，右心室に特化した新たな3Dスペックルトラッキングイメージング（STI）を開発し，システムの信頼性および臨床的な実用性を確認するために動物実験および臨床研究を行った．
【方法】
羊実験モデル10頭を用いて，3D-STIによる面積変化率（ACR），longitudinal strain（LS），及びcircumferential strain（CS）の検証を行った．ベースライン時，プロプラノロール注入時，および肺動脈（PA）絞扼中にソノマイクロメトリデータと3D-STIデータの比較検証を行った．RV容積データは心臓磁気共鳴画像（MRI）を行う26人の患者において比較検討を行った．更に臨床実用性は，30人の正常コントロールと肺動脈高血圧症（PAH）27人において検討した．
【結果】
3D-STIデータはソノマイクロメトリデータと良好な相関を示し（LS, R2=0.64; ACR, R2=0.69; CS, R2=0.59），そして負荷試験の間に有意な減少を示した．3D-STIによるRV拡張末期容量（RVEDV），収縮末期容量（RVESV），および駆出率（RVEF）は，MRIによるデータよりも有意に小さかったが，両者の間には有意な相関関係が認められた（RVEDV, R2=0.72; RVESV, R2=0.71; RVEF, R2= 0.62）．臨床例における利用可能な画像の取得率はRV流出路領域で極めて低かった（60％程度）．しかし，PAH群におけるRVグローバルストレインは，コントロール群よりも低かった（AC, LS P＜0.001; CS, P=0.003）．またRV基部および中部セグメントのACRとLSには有意差が認められた．しかし流出路および心尖部ではグループ間差がなかった．
【結論】
右室用3D-STIシステムは，RVグローバルおよびセグメント機能解析において信頼できるシステムである．しかし，臨床例では流出解析に限界が認められた．