Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 基礎
パネルディスカッション 基礎2 超音波による治療技術

(S231)

HIFUによる乳癌局所療法の現状と課題

An actual status and the challenges of breast cancer local treatment with HIFU

古澤 秀実

Hidemi FURUSAWA

ブレストピアなんば病院乳房腫瘍外科

Department of Breast Surgical Oncology, Breastopia Namba Hospital

キーワード :

【背景】
乳癌は,我が国の女性の癌罹患率第一位である.新規患者は7万人/年を超え,乳癌関連死は1万人/年以上である.一部の患者では,乳癌が発見された時点で既に不可視の微小全身転移が成立している.浸潤癌における乳癌治療とは,手術や放射線療法に代表される局所療法と潜在する全身転移に対する薬物療法に区別され,局所療法の目的は,「乳房内にviable cancerを残さない」ことにある.この前提において患者の生命予後を規定しているのは,全身薬物療法といえる.
【目的】
乳癌局所療法としてのHIFU治療の現状と課題に関する報告.
【方法】
MRガイド下HIFU(ExAblate2000,InSightec社)治療後に放射線照射を併用する臨床試験に90例を登録.適応基準を満たし治療,経過観察中の75例を対象に,安全性と効果の検証および現在に至る治療ソフトの改善と課題の考察.
【結果】
75例の観察期間中央値は,70ヶ月(1-110).平均治療時間は,126分(41-246)であった.安全性に関して,現在までに重篤な有害事象は経験していないが,皮膚熱傷回避とより良い効果を求めて3回のソフトウェア・バージョンアップを行った.効果に関しては術後84ヶ月での局所再発を1例経験し,salvage partial mastectomyを施行した.この症例に用いたソフトはバージョンアップ以前のものであった.
【結論】
ExAblateを用いた乳癌治療は,安全性と効果の両面を考慮して最新バージョンのソフトウェアで行うべきである.課題として,治療時間短縮と治療の個別化が望まれる.そのためには,患者毎の乳房組織構成の把握とそれに伴う照射超音波のゆらぎの計算および至適音響エネルギーの設定が急務と考える.