桑原 崇通¹, 廣岡 芳樹², 川嶋 啓揮¹, 大野 栄三郎¹, 杉本 啓之¹, 林 大樹朗¹, 森島 大雅¹, 河合 学¹, 中村 正直¹, 後藤 秀実^{1, 2}

Takamichi KUWAHARA¹, Yoshiki HIROOKA², Hiroki KAWASHIMA¹, Eizaburo OHNO¹, Hiroyuki SUGIMOTO¹, Daijuro HAYASHI¹, Tomomasa MORISHIMA¹, Manabu KAWAI¹, Masanao NAKAMURA¹, Hidemi GOTO^{1, 2}

¹名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学, ²名古屋大学医学部付属病院光学医療診療部

¹Gastroenterology and Hepatology, Nagoya University Graduate School of Medicine, ²Endoscopy, Nagoya University Hospital

キーワード :

膵臓領域における診療ガイドラインは，膵癌や慢性膵炎，自己免疫性膵炎など疾患毎に作成されているものが多い．超音波に限定したガイドラインとしては，腹部超音波検診判定マニュアルと，膵臓超音波エラストグラフィ診療ガイドラインが存在する．
腹部超音波検診判定マニュアルは，腹部超音波検診の検査法の質的向上と均質化，カテゴリーや判定基準の共通化を目指し作成されたものである．腹部超音波検診判定マニュアルに関しては他セッションが存在するため，本セッションでは割愛させていただく．
膵臓超音波エラストグラフィ診療ガイドラインは膵に対して施行可能な超音波エラストグラフィの分類と使用方法，存在するエビデンスを提示した．超音波エラストグラフィは大別してStrain elastographyと，Shear wave elastographyの2種類に大別され，Strain elastographyは体表超音波（US）と超音波内視鏡（EUS）の2種類が使用可能な点が他領域のエラストグラフィとの相違点であり，Strain elastographyはUS/EUS別に記載した．またEUS-Strain elastographyは膵腫瘍の両悪性鑑別診断に優れていること，膵腫瘍診断だけではなく肝線維化診断と同様に，膵実質の線維化診断へも応用が可能であることを記載した．
しかし，膵臓に対するエラストグラフィの報告はまだ少数で，装置によっては使用報告が存在しない装置もある．よって当ガイドラインでは，各装置別の推奨する撮影・解析方法までは提案していない．
今回は超音波エラストグラフィの最適な撮影・解析法，新たな臨床応用の可能性など新たな報告を交え，膵臓領域の超音波ガイドラインの方向性を探る．