Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
パネルディスカッション 領域横断3 超音波教育の現在・過去・未来

(S211)

技師教育と検査士育成(検査士の立場から:消化器)

Education and Training for Registered Medical Sonographers

河本 敦夫

Atsuo KAWAMOTO

東京医科大学病院放射線診断部

Department of Diagnostic Radiology, Tokyo Medical University Hospital

キーワード :

演者の勤務する外来エコーセンターは,放射線診断部門を核として編成された経緯がある.スタッフは常勤6から7名,放射線科医,診療放射線技師,臨床検査技師の多職種で業務を行っている.年間検査件数は14000件強で,体表,消化器,泌尿器,婦人科,血管領域など形態学的検査を主とする.CTやMRI同様,超音波というモダリティを用いたファーストラインの画像診断部門の位置付けである.このうち消化器系検査の占める割合は30%強であり,配属時まず必須の領域である.以下,今回の趣旨に沿うよう自施設の現状を述べる.
基本目標として大学病院という施設の位置付けを認識してもらっている.すなわち教育,研究,臨床をバランスよく遂行することである.現場においては,病変の検出のみならず,病期判定,手術適応,治療効果判定などに有用な情報を提供すべく,臨床に密着した検査を心がけている.スタッフについては,診療放射線技師は画像診断部ローテーション(一般撮影,造影検査,CT,MRI,IVR,救命)が終わりマンモグラフィ認定を取得してから,臨床検査技師は病院附属の予防医学部門で健診エコーを経験してから移動となるので,全くの初心者ということはない.OJT(on-the-Job training)形式での教育が主となる.流れとしては1)超音波の原理,2)超音波装置の設定・調整,3)対象領域の解剖・生理,4)疾患・病態の理解,5)検査手技の習得,6)報告書作成,7)接遇,そして8)診療支援部門であるわれわれのクライアントでもある臨床医とのコミニュケーション,以上を担当チューター指導のもと実践していく.検査前に電子カルテ,PACS,RISで十分な情報を入手したうえで検査に臨み,検査後は臨床経過との整合性を確認することを義務としている.
当部門に配属された場合,目標とするのが領域超音波検査士の取得である.特に消化器領域は最初の目標とする場合が多い.日本超音波医学会「超音波検査士研修ガイドライン第3版」を利用し,到達目標を一つ一つ積み重ねていく.この準備過程で必修疾患が提示されていることで,積極的な検査業務への寄与が期待できる.申請書類作成時には,必然的に「医用超音波用語集」で用語の確認が行われる.本制度は「優れた技能を有するコメディカルスタッフ」の育成に有効な手法と考える.超音波イメージングの分野はまさしく日新月歩である.目標到達後(検査士取得後),そこで止まらないよう,さらに研鑽できる動機づけを現在も考えている.部門内は無線LAN環境が構築され,当学WEBサイトから文献,各種ガイドライン必要時は,ただちにアクセス可能である.これらを利用することで,容易に成書にはない新しい情報の入手が可能である.
検査士の必須条件として使用する装置の性能を把握し,至適な画像を得ると言うことにつきる.不適切な装置の設定からは,いかにハイエンドマシンであっても得られるはずの情報は大幅に低下するからである.スタッフは撮像過程および画像処理過程のすべてを知る「プロフェッション」の視点から,責任をもって有益な画像所見を出す!という姿勢で日常業務に取り組んでいる.